郡上おどり
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郡上おどり(ぐじょうおどり)は、岐阜県郡上市八幡町(旧・郡上郡八幡町、通称「郡上八幡」)で開催される伝統的な盆踊りである。日本三大盆踊り、日本三大民謡(郡上節)に数えられる。
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[編集] 歴史
[編集] 発祥
中世の「念仏踊り」の流れを汲むと考えられている。
盆踊りとしての体裁が整えられたのは、郡上藩主の奨励によるとされる。江戸時代初期の藩主・遠藤氏が領民親睦ため奨励したのが発祥とも、江戸時代中期の藩主・青山氏が百姓一揆後の四民融和をはかるため奨励したのが発祥とも伝えられるが、定かではない。
[編集] 1820年
郡上藩庁より武士階級の者の参加を禁じる触書が発せられた記録がある。
[編集] 1874年
明治政府により、禁止令が出される。神仏分離政策か近代化政策かの影響と思われる(顛末不明)。
[編集] 1922年
郡上踊り保存会発足。
[編集] 第二次世界大戦中
毎年8月15日のみ開催を許されていた。1945年8月15日の終戦日にも開催された。終戦日には官憲からの中止勧告があったとの証言があるが、「英霊を慰める」などの理由の下に中止は免れたという。
[編集] 開催期間・会場・特徴など
[編集] 郡上八幡
- 毎年7月中旬から9月上旬まで延べ32夜開催される。
- 8月13日~16日は、夕方から明方まで夜通し踊り続ける「盂蘭盆会(徹夜踊り)」。
- 寺社の境内・道路・広場など、開催日毎に会場を移す。
- 各開催日は基本的に町内各所での縁日や記念日に由来している。
- 優秀な踊り手には免許が発行される。開催日毎に審査対象の1曲を明示し、郡上踊り保存会が選抜する。
- 期間中に来訪する観光客は凡そ30万人に達する。
- 毎年年末には翌年の日程が発表される。
[編集] 東京(郡上おどり in 青山)
毎年6月に、東京都港区南青山の寺院「梅窓院」の境内で開催される。同寺院が八幡藩主・青山氏の菩提寺であったことに由来する。郡上市から郡上踊り保存会が来訪し、郡上節の生演奏により本場さながらの踊りが繰り広げられる。同時に郡上市の物産展も催される。主催者は青山外苑前商店街振興組合。1994年から開催されている。
[編集] 踊りの概要
郡上節を演奏する囃子の一団が乗る屋形を中心に、自由に輪を作り時計回りに周回しながら踊る。会場が街路の場合もあるので、輪は円形とは限らない。踊りには曲ごとに定型がある。振り付けの基本は簡素なので、初心者や観光客でも見様見真似で踊ることができるようになる。装束は男女とも浴衣に下駄履きが標準的だが強制ではない。踊りへの参加は完全に自由で、飛び入りや離脱に規制はない。通常、見物人よりも踊り手の方が圧倒的に多数である。
[編集] 郡上節
郡上おどりの際に演奏される囃子を総称して郡上節と言う。
- 「かわさき」「春駒」「三百」「ヤッチク」「古調かわさき」「げんげんばらばら」「猫の子」「さわぎ」「甚句」「まつざか」の10曲。対応する踊りは、それぞれ異なる。
- 踊る曲の順番は日によって違う。ただし、まつざかは必ず最後に踊る曲になっている。これは、まつざかは拍子木と歌のみを伴奏にして踊る曲で、終わった後は拍子木を懐に入れて帰って行くことが出来、片付けの手間がない為にまつざかが最後に踊る曲となっている。なお、三味線等はまつざかの前の曲が終了した時点で片付けの準備に入る。
- 囃子の構成は、三味線・太鼓・笛の伴奏に唄囃子・返し言葉・掛け声。伴奏がない曲もある。
- 郡上節が演奏される屋形は、可動式の木造2層寺社風構造であり、永年使用される。開催日毎に会場に移動し、適所に設置される。開催期間以外は八幡町内の専用倉庫に保管されている。
[編集] 文化財指定
1996年12月20日に国から重要無形民俗文化財に指定された。書類上の名称は「郡上踊」、保護団体名は「郡上踊り保存会」。
[編集] 関連施設
- 郡上八幡博覧館
- 郡上おどり開催時期以外にも、通年踊りの実演を見学することができる。郡上おどりの歴史などの展示も常設されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 郡上八幡観光協会(日程表など)
- 郡上八幡博覧館(踊り方など)
- 梅窓院(郡上おどり in 青山、会場)
- 青山外苑前商店街振興組合(郡上おどり in 青山、主催者)