軍荼利明王
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軍荼利明王(ぐんだりみょうおう、または軍荼利夜叉明王(ぐんだりやしゃみょうおう)とも呼ばれる)は、密教で人間界と仏界を隔てる天界に位置する明王の中でも特に中心的役割を担う五大明王の1人で、南方の守護神。
[編集] 曼荼羅における軍荼利
胎蔵界曼荼羅においては、軍荼利明王として、金剛界曼荼羅においては、甘露軍荼利菩薩、金剛軍荼利菩薩、蓮華軍荼利菩薩がいる。これを三部軍荼利と呼ぶが、軍荼利明王に該当するのは甘露軍荼利菩薩、サンスクリットでいうアムリタ・クンダリンである。アムリタとは、不死の霊薬のこと、クンダリンは水瓶、あるいは、とぐろを巻いた蛇のこと。
軍荼利明王は、疫病をもたらす毘那夜迦天(インドのガネーシャ)を調伏する明王で基本的にシヴァ神の神格を継承している。
チベットでは十忿怒尊のヴィグナーンタカとなり、象の神を踏む。
[編集] 軍荼利、その起源と成立(夜叉明王と金剛部の菩薩たち)
その起源はガネーシャを踏むマハーカーラ(シヴァ)から来ていると思われる。大日如来が、ダーキニーを降伏させるため、忿怒の神、マハーカーラに変身する説話があるが、そこから、菩薩が忿怒の姿をとる、忿怒菩薩が誕生した。金剛甘露軍荼利菩薩、金剛牙(金剛薬叉、摧一切魔)菩薩、孫婆菩薩、馬頭観音菩薩などである。その何体かの菩薩は、明王(持明者の王)として日本で信仰された。特に軍茶利明王の成立は明王の中では古いようで、不動使者とともに金剛甘露軍茶利菩薩が7世紀には仏典に登場している。
日本に伝播した明王は、中期密教の忿怒尊である。チベットは後期密教の影響を受けているため、姿形や性格、人気のほどは異なる。
[編集] 姿形
軍荼利明王は一面八臂の姿で、手は2本の腕で三鈷印を結び、他の腕には武器や斧を持ち、シヴァ神のように、顔は三ツ目でとぐろを巻く蛇を身に纏った姿で像形されることが多い。