財前又一
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財前 又一(ざいぜん またいち)は、山崎豊子の小説『白い巨塔』に登場する架空の人物。 財前産婦人科院長。財前杏子の実父で、財前五郎の舅。
大阪医専を卒業後、一貫して開業医である。その為国立大学教授に異常なほどの劣等感を感じており、娘婿の財前五郎を投資株に例え、その教授選や学術会議会員選では莫大な金を投じていく。金はありあまっているが名誉が欲しいというタイプである。そのため、婿の五郎の栄達を本人以上に喜ぶ。
自身は大阪市北医師会の副会長を務め、会長の岩田重吉(鵜飼医学部長の同期生で俺、お前の仲)とはツーカーである。性格は極めて豪傑かつ好色で、自らも妾・時江に料亭を構えさせるような度量を持ち、婿の五郎にも浮気を勧める発言をする。その他、自身の娘、杏子をわがままでダメな娘などと平気で言う。ちなみに平成版ドラマではカツラを被っている。なお、経緯は不明だが、興信所を使って財前の愛人・花森ケイ子の存在を察知していたらしいが、それ自体をとがめだてはせず、怪文書に注意するよう助言する。
財前に対しては、最初は『五郎君』などとよそよそしかったが、やがては『五郎』と呼び捨てにするようになった(田宮版ドラマでは、最後まで『五郎君』とよび、平成版ドラマでは『五郎ちゃん』と呼んだ)。
財前の最期が近づくと、無理をさせたことを悔いて財前に詫びる。控訴審直後は敗訴の原因となった里見、柳原、東の3人のことを根に持ち激しく憎んでいたが、財前が手術不能と分かると、それどころでは無くなり普通に接している。
原作によれば住居は娘婿の財前五郎と同じく西宮市夙川である。また財前婦人科院(財前マタニティクリニック)の住所は大阪市北区堂島で、かつての大阪大学附属病院の近くである。
平成版ドラマでは、大阪弁を全編で話している数少ない人物。医師側ではほぼ唯一の存在と言っても過言ではない。
[編集] 演じた俳優
- 石山健二郎(1966年・映画)
- 内田朝雄(1967年・テレビドラマ)
- 曽我廼家明蝶(1978年-1979年・テレビドラマ)
- 藤岡琢也(1990年・テレビドラマ)
- 西田敏行(2003年-2004年・テレビドラマ)