豆腐の味噌漬け
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豆腐の味噌漬け(とうふのみそづけ)は、熊本県東南部(特に五木村周辺)に伝わる保存食である。
豆腐を水切りした後、布に包んで味噌(またはもろみ味噌)に1週間~半年ほど漬けこんだもので、漬けこむ味噌によって味が変わり、チーズのような風味を持つ。
1200年頃に平家の落武者によって保存食として利用されたことが発端であると伝えられている。五木・五家荘など九州山地では、古くから焼き畑農業が行われ、大豆も焼き畑で収穫できる主要な産物だった。物流の整っていない山間部では様々な保存食が発達した。地元で作られる豆腐は「かずら豆腐」と呼ばれる固い食感が特徴で、かずらで縛って持ち運べるほど固いことに由来すると言われる。豆腐のみそ漬けにもこの固い豆腐が向いている。 五木・五家荘・人吉周辺の各家庭で作られるほか、お土産物や家庭用にも市販されている。伝統的な「とうふのみそ漬け」のほか、シソや梅風味のもの、もろみで漬け込んだウニのような食感の「山うに豆腐」など様々な商品が作られている。
豆腐百珍にも「豆酩」の名で紹介された。
[編集] 作り方(豆腐百珍参照)
大豆をふんだんに使ったかなり硬い木綿豆腐と、味噌を用意する。
豆腐は半分の厚さになるように上下に二つ切りにし、さらにその厚さの四分の一になるまで板などを重石に数時間かけて水分を抜く。
酒やみりんなど一切混ぜ物のない味噌を敷き詰めた中に豆腐を並べておき、上からも味噌を載せて味噌の中に漬け込むようにする。
そのまま数ヶ月間、冷暗所で熟成させて完成。酒のつまみなどに供する。