請願権
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請願権(せいがんけん)とは、日本国憲法第16条に定められた請願を行う権利である。国務請求権の一種であるとされ参政権的役割と解される。大日本帝国憲法第30条にも規定があった。
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[編集] 意義
歴史的には、絶対君主制下における民意の通達手段として発達してきた。1689年のイギリス権利章典に定められ、以後、各種の人権宣言や憲法に取り入れられてきた。
[編集] 具体的方法
請願の一般的な方法については請願法が定めており、住所氏名を記して、所轄の官公庁(不明な場合は内閣)に書面で提出しなければならない(請願法第2条、第3条)。その他、国会法第79条-第82条、地方自治法第124-125条、在監者の情願について、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律が規定を設けている。
国会の請願は、議員の紹介によってなされなければならず、委員会の審議を経て議院によって採決される。採択されたものは内閣に送付される。内閣はその処理について国会に報告しなければならない。
[編集] 憲法条文
[編集] 大日本帝国憲法第30条
日本臣民ハ相当ノ敬礼ヲ守リ別ニ定ムル所ノ規程ニ従ヒ請願ヲ為スコトヲ得
[編集] 日本国憲法第16条
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
[編集] 注意点
- 未成年者・法人・外国人も請願の主体となる。
- 請願が行われた場合、官公庁には誠実に処理する義務が課せられるが、内容を審理・判定する義務までを負うものではない。
- 裁判に関する請願が認められるかどうかは肯定・否定の両説がある。
[編集] 参考文献
渡辺久丸『請願権』(新日本出版社 1995年3月)