褐鉄鉱

褐鉄鉱

褐鉄鉱（かってっこう、limonite）は、吸着水や毛管水を含んだ針鉄鉱（ゲーサイト、FeOOH）、または鱗鉄鉱（レピドクロサイト、FeOOH）の集合体。別名はリモナイト。鉄の酸化鉱物であり、天然の「鉄サビ」である。

以前は鉱物名称だったが、現在は結晶構造の違いで針鉄鉱か鱗鉄鉱のどちらかに分類され、鉱物名としては使用されていない。この両者は産出状態も共生関係も全く同様で、相伴って産出するため、2つを区別するのは困難とされている。近年の研究の結果、おそらくは針鉄鉱であるという説が有力視されている。

[編集] 特徴・性質

暗褐色または黒色の団塊、土状のものとして産出される。化学組成は FeO(OH)・nH₂O だが、赤鉄鉱（Fe₂O₃）や粘土鉱物、酸化マンガン(II)などを不純物として含む。

モース硬度は4 - 5.5で、土状のものは1に近い。比重は2.9から4.3でもろい。

鉄を含んだ鉱物の風化生成物として産出され、土壌を赤く着色する。鉱床の露頭部分にある焼ケは大部分が褐鉄鉱でできている。また、鉄を含んだ温泉（鉄泉）の沈殿物としても産出される。

石英族の鉱物の内部にインクルージョンとして混入する物質の一種でもあり、インクルージョンとしての外見上は黄色～黄金色・褐色をしている。水晶の中に、針状・毛髪状・繊維状の内包物となって出現することが多い。

団塊状で内部に空洞のあるものを鳴石、壷石といい、豆状のものを豆鉄鉱という。直角に交わる頁岩の節理に褐鉄鉱が沈殿したものは香合石とよばれている。また、長野県武石村で産出される黄鉄鉱仮晶のものを武石または升石という。

愛知県豊橋市の高師原で多く産出される天然記念物の高師小僧も植物の根に吸着した褐鉄鉱の集合体である。

古くから鉄鉱石として、また黄土色の顔料として利用されている。

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