行政区 (ニューヨーク)
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ニューヨーク市に置かれた行政上の5つの「区」(ボロー:borough)は、市を構成する5つの郡を指して政府が使用する用語。「三州地域(ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州)」(トリステイト・リージョン 英語:Tri-State Region)やアメリカ合衆国の他の地域で用いられる「ボロー」とは、はっきりと異なる独自の用語である。
ニューヨーク市という代わりに、「ザ・ファイブ・ボローズ」という言葉が用いられることもある。この表現は、他のボローと区別するために、またはニューヨーク大都市圏と区別するために用いられる。この言葉は、マンハッタン区だけでなく、5つの区の全てを対等な扱いで取り上げることを強調する際に、政治家がよく用いる言葉である。
5つの区は、それぞれニューヨーク州の郡に対応している。
1899年、現在のニューヨーク市の境界線が確定した際、全ての区が同時に誕生した。ブロンクス区は、1914年にブロンクス郡が誕生するまでは、ウエストチェスター郡から割譲されたニューヨーク郡の一部であった。クイーンズ区は、1899年、クイーンズ郡の西側にあった3つの町が合併してナッソー郡が誕生するまで、郡の東部を構成してきた。スタテンアイランド区は、1975年、一般的な呼称を採用して現在の名称が使われるまでは、リッチモンド区と呼ばれていた。
それぞれの区に区長がおり、(マンハッタン区を除き)区役所が置かれているが、区長には最低限の権限しか認められておらず、区に立法的な機能はない。一番大きな権限を担っているのはニューヨーク市長であり、ニューヨーク市議会に立法責任が委ねられている。5つの区は、同時に郡であるために、他の郡と同じように地方検事を選任している。民事法廷の裁判官は市全域で職務に就くことができるが、その一部は区単位で選挙されている。