荻田浩一
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荻田 浩一(おぎた こういち)は、宝塚歌劇団所属の演出家。大阪府出身。
大阪大学在学中の1994年、宝塚歌劇団に演出助手として入団。1997年宝塚バウホール公演『夜明けの天使たち』で演出家デビュー。1999年『螺旋のオルフェ』で宝塚大劇場作品デビュー。2004年、脚本・演出を手掛けた『ロマンチカ宝塚'04―ドルチェ・ヴィータ!―』が第59回文化庁芸術祭『演劇部門優秀賞』(関西の部)を受賞。
正塚晴彦、小池修一郎の元で演出助手を務めることが多かったため、宝塚で作品を創る上での姿勢に少なからぬ影響を受ける。
エンターテインメント性を重んじる宝塚歌劇団という劇団において“哀しみ”“孤独”“痛み”“別れ”といったモチーフをもって繊細で美しい世界を作り上げる彼の独特の作風は、異質ともいえるものであり、大劇場での芝居作品はその特性から賛否両論評されることがままあるが、バウホール作品、大劇場でのショー作品の評価は総じて高くファンも多い。また、サヨナラ公演の演出が上手いことでも知られている。
自らの作品では作曲家の斉藤恒芳と組んで、宝塚の大劇場公演ではあまり使われることの無い、打ち込み系の楽曲を採用することもある。
出演者の個性、組の特性を活かした演出にも定評があり、生徒を活かすことのできる座付き演出家として、今後いっそうの活躍が期待されている。
また近年は、宝塚歌劇団の外でも確実に活躍の場を広げている。
目次 |
[編集] 宝塚歌劇団での舞台作品
[編集] 芝居の脚本・演出
- バウ・ミュージカル『夜明けの天使たち』(1997年 星組・日本青年館)
- バウ・ミュージカル『夜明けの天使たち―悲しみの銃弾―』(1998年 星組・宝塚バウホール)
- バウ・ミュージカル『凍てついた明日―ボニー&クライド―』(1998年 雪組・宝塚バウホール、日本青年館)
- ミュージカル『螺旋のオルフェ』(1999年 月組・宝塚大劇場、TAKARAZUKA1000days劇場)
- バウ・ミュージカル『聖者の横顔』(2000年 星組・宝塚バウホール、日本青年館)
- ミュージカル『マラケシュ・紅の墓標』(2005年 花組・宝塚大劇場、東京宝塚劇場、博多座)
- 『A-“R”ex-如何にして大王アレクサンダーは世界の覇者たる道を邁進するに至ったか-』(2007-2008年 月組・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、日本青年館)
[編集] ショーの構成・演出
- レビュー・ロマネスク『パッサージュ―硝子の空の記憶―』(2001年 雪組・宝塚大劇場、東京宝塚劇場、博多座)
- レビュー・アラベスク『バビロン―浮遊する摩天楼―』(2002年~2003年 星組・宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- グランド・ショー『ロマンチカ宝塚'04―ドルチェ・ヴィータ!―』(2004年 星組・博多座、宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 湖月わたるダンシング・リサイタル『Across』(第2部のみ)(2006年 星組・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、サンシャイン劇場)
- レビュー・アラベスク『タランテラ!』(2006年 雪組・宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- ショー『TUXEDO JAZZ』(2007年 花組・宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- ソング&ダンス・ショー『ソロモンの指輪』(仮題)(2008年 雪組・宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
[編集] その他の作・演出
- バウ・ワークショップ『LAST STEPS―月明かりのワルキューレ―』(1998年 花・月・雪・宙組合同・宝塚バウホール)
- バウ・ワークショップ『Over The Moon―月影瞳クロニクル―』(2001年 雪組・宝塚バウホール)
- 朝海ひかるバウ・スペシャル『アルバトロス、南へ』(2006年 雪組・日本青年館、宝塚バウホール)
- バウ・ワークショップ『凍てついた明日-ボニー&クライドとの邂逅-』(2008年 雪組・宝塚バウホール)
[編集] 演出のみ
- 『'98 TCAスペシャル タカラジェンヌ!』(一部のみ)(1998年)
- バウ・ワークショップ『恋天狗』(2003年、月組)
- ミュージカル・ロマン『白昼の稲妻』(2003年~2004年、宙組)
- 『TCAスペシャル2004 タカラヅカ90―100年への道―』(一部のみ)(2004年)
- 『TCAスペシャル2005 ビューティフル・メロディー ビューティフル・ロマンス』(一部のみ)(2005年)
[編集] 新人公演の演出
- 1995年 雪組『JFK』
- 1996年 花組『ハイペリオン』、星組『二人だけが悪』、花組『ハウ・トゥー・サクシード』
- 1997年 花組『失われた楽園』
- 1998年 花組『SPEAK EASY』
- 1999年 雪組『バッカスと呼ばれた男』
- 2000年 雪組『凱旋門』(役替わり公演)
- 2002年 花組『琥珀色の雨にぬれて』
- 2005年 花組『マラケシュ・紅の墓標』、月組『JAZZYな妖精たち』
[編集] ディナーショーの演出
- 初風緑『Verde』(1998年)
- 成瀬こうき『Blue Blood』(2000年)
- 朝海ひかる『Dancer in the dark』(2001年)
- 水夏希『SOUL 煽動する魂』(2002年)
- 香寿たつき『静かなる革命 the silent revolution』(2003年)
- 立樹遥『Luce―陽だまりの足音―』(2004年)
- 汐美真帆『Good Bye,Good Guy,Good Fellow』(2004年)
- 舞風りら ミュージック・サロン『A Little Flower』(2006年)
[編集] 演出助手
- 1994年 花組『ブラック・ジャック 危険な賭け』(演出:正塚晴彦)、花組『火の鳥』(草野旦)、雪組『風と共に去りぬ』(植田紳爾)、星組『カサノヴァ・夢のかたみ』(小池修一郎)、星組『Shion〜愛の祈り〜』(草野旦、バウホール)
- 1995年 花組『LAST DANCE』(正塚晴彦、バウホール)、月組『Beautiful Tomorrow!』(三木章雄、バウホール)、雪組『JFK』(小池修一郎)、花組『エデンの東』(谷正純)、星組『剣と虹と恋と』(太田哲則)、雪組『マ・ベル・エトワール』(村上信夫)、
- 1996年 花組『ハイペリオン』(中村暁)、月組『マンハッタン不夜城』(草野亘)、星組『二人だけが悪』(正塚晴彦)、花組『ハウ・トゥー・サクシード』(酒井澄夫)、月組『プレスティージュ』(中村一徳)、雪組『アナジ』(谷正純、バウホール)
- 1997年 月組『グランド・ベル・フォリー』(酒井澄夫)、花組『失われた楽園』(小池修一郎)、星組『誠の群像』(石田昌也)、星組『ダル・レークの恋』(酒井澄夫)
- 1998年 雪組『LET'S JAZZ』(草野旦)、宙組『シトラスの風』(岡田敬二)、花組『SPEAKEASY』(谷正純)、雪組『心中・恋の大和路』(菅沼潤・谷正純、バウホール)、月組『黒い瞳』(謝珠栄)
- 1999年 星組『WEST SIDE STORY』(アラン・ジョンソン)、月組『十二夜』(木村信司、バウホール)、雪組『バッカスと呼ばれた男』(谷正純)
- 2000年 雪組『凱旋門』(謝珠栄)
- 2001年 宙組『ベルサイユのばら2001』(植田紳爾・谷正純)、雪組『Rose Garden』(三木章雄)
- 2002年 花組『琥珀色の雨にぬれて』(正塚晴彦)、宙組『ザ・ショー・ストッパー』(三木章雄)、月組『With a Song in my Heart』(岡田敬二)
- 2003年 月組『春ふたたび』(児玉明子、バウホール)、星組『雨に唄えば』(中村一徳)、雪組『レ・コラージュ』(三木章雄)、星組『プラハの春』(谷正純)
- 2004年 雪組『タカラヅカ・グローリー!』(岡田敬二)
- 2005年 月組『JAZZYな妖精たち』(谷正純、演出補)
[編集] 宝塚歌劇団以外での舞台作品
- ダンス×アクト『SANCTUARY~旋回する夜の情景~』(作・演出)(2001年2月2日~24日、ベニサンピット)
- 『新版・四谷怪談~左眼の恋~』(潤色・演出)(2002年9月5日~15日、築地本願寺ブディストホール。2002年9月17日~18日、HEP HALL)
- 音楽と劇『Moon River』(作・演出)(2003年3月1日~3日、築地本願寺ブディストホール)
- ダンスドラマエモーション『Winter Rose』(原案・構成)(2003年12月23日、新神戸オリエンタル劇場。2004年2月4日~7日、博品館劇場)
- 映像&一人芝居『ゼルダ』(作・演出)(2003年5月21日~25日、LAFORET MUSEUM原宿)
- ダンスアクトシリーズvol.3『草原の風~白い馬の伝説~』(構成・演出)(2003年7月11日~13日、シアター・ドラマシティ。7月19日~21日、ゆうぽうと簡易保険ホール)
- 音楽と劇『人魚姫』(作・演出)(2003年12月3日~7日、築地本願寺ブディストホール)
- 『マルゴ ~王妃にして王女~』(作・演出)(2004年5月12日~16日、築地本願寺ブディストホール)
- 音楽と劇『暴力と夜、雨の中で』(作・演出)(2004年5月19日~23日、築地本願寺ブディストホール)
- オリジナルショー『RHYTHM RHYTHM RHYTHM』(構成・演出)(2004年9月8日~12日、アートスフィア)
- 『…and the World Goes 'Round』(演出・訳詩)(2004年12月10日~12日、新神戸オリエンタル劇場。2004年12月17日~23日、東京芸術劇場 中ホール)
- ダンスドラマエモーション『Winter Rose 南へ―冬を逃れてきた姉と弟 Stranger…』(構成・演出)(2005年2月2日~6日、博品館劇場)
- オトナのためのクリスマスエンターテイメント『RED SHOES, BLACK STOCKINGS―彼と彼女が踊る理由―』(構成)(2005年12月24日~25日、ル テアトル銀座)
- THE SONG OF KANDER & EBB『ワールド ゴーズ ラウンド(…and the World Goes 'Round)』(演出・訳詩)(2006年2月9日~12日、東京芸術劇場 中ホール。2006年2月14日、兵庫県立芸術文化センター 中ホール)
- ミュージカル『アルジャーノンに花束を』(脚本・演出)(2006年2月22日~3月5日、博品館劇場。2006年3月9日、ウェルシティ大阪厚生年金会館芸術ホール。2006年3月10日、愛知厚生年金会館)
- ミュージカル『蝶々さん』(演出)(2007年6月9日~24日、シアター1010)
- 『LOVE LOVE DE SHOW オレンジ・カーニバル』(構成)(2007年7月10日~15日、品川プリンスホテル クラブeX)
- ブロードウェイミュージカル『蜘蛛女のキス』~KISS OF THE SPIDER WOMAN~(演出・訳詞)(2007年11月2日~11日、東京芸術劇場中ホール。11月16日~18日、梅田芸術劇場メインホール)
- オリジナルミュージカル『WILDe・BEAUTY』(脚本・作詞・演出)(2008年3月12日~3月23日、博品館劇場)
[編集] 作詞
- 『Mystic Girl』(「FAFNER in the azure -NOW HERE-蒼穹のファフナーBGM&ドラマアルバムII」/歌・柏原真智子)
[編集] 参考文献
- 宝塚歌劇団『宝塚歌劇90年史 すみれ花歳月を重ねて』ISBN 4484046016