習熟度別学習
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
習熟度別学習(しゅうじゅくどべつがくしゅう)とは、学校などで授業の際に児童・生徒をその教科の習熟度に応じて、複数の学級をいくつかのクラスに編成しなおしたり、1つの学級内で別々のコースで学習するなどして、学習の効率を上げようとする授業法である。公立学校では「学力別」や「能力別」という表現はされず、専ら「習熟度別」と呼ばれる。また、クラス名をあえて優劣がわからないように名づけるなどの配慮が行われていることもある。
習熟度別学習は、その教科が苦手であったり、理解に時間のかかる学習者は基礎基本の定着を図るような学習、その教科が得意であったり、理解の早い学習者は発展課題に取り組み応用力を養うような学習というように、学習集団によって学習内容やそのために要する時間数を変えることができ、効率よく学習ができるという利点があるといわれる。しかし、学習者を習熟度(もしくは学力)別でクラスを分けることは、学習者の学習意欲を減退させたり、差別感を与えたりすることにつながるなどの批判もある。また、特に思考や議論を要する学習内容で習熟度別に分けると、思考の似通った学習者の集団が形成されるため、1つの発問に対して様々な意見が出にくくなり、学習者相互による活発な議論が起こりにくい、という問題点も指摘されている。
これらの点を踏まえ、習熟度別学習を授業の一形態と捉え、特に問題演習を中心に行う学習内容の際には習熟度別で少人数クラスを編成し、単元の導入場面や応用力を養う場面では学級もしくは習熟度によらない編成方法で少人数クラスを作るなど、様々な学習形態が研究されている。
日本では一時期、「能力別学習」の名前で教育が行なわれていた。能力別、学力別、習熟度別を分けて考える人もいる。