縮退炉
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縮退炉(しゅくたいろ)とは、サイエンス・フィクション作品に登場する、縮退した物質を利用してエネルギーを発生させる架空の装置である。ブラックホールエンジンなどもこれに類するものであると思われる。
その原理は作品ごとに異なるが、莫大なエネルギーを持つとされることは共通である。主に恒星間宇宙船やスーパーロボットの動力源として使用される。
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[編集] 縮退炉あるいは類似の機関が登場する作品とその理論
アニメ
- トップをねらえ! - アイス・セカンドの重力崩壊からエネルギーを取り出すとされている。[1]
- ふしぎの海のナディア - Ν-ノーチラス号及びレッドノアの主機関。「おまけ劇場」で説明された理論では、「重力半径を共有して回転する2つのマイクロブラックホールを常温で凍結し、その剥き出しになった特異点で見かけの半径との誤差を生じさせ、そのときに発生するエネルギーを取り出す」との事である。
- ∀ガンダム - ∀ガンダムの動力源。「DHGCP」という縮退炉を2基搭載したもの。劇中ではふれられていないが資料などに見られる。
ゲーム
- スーパーロボット大戦シリーズ - グランゾンなど。
マンガ
- ハヤテのごとく! - 第154話「温泉と同じくらい大好き」にて三千院家のサウナの動力となっていることが明かされている。
SF特撮ドラマ
- 新スタートレック - ロミュラン・ウォーバードの動力源が人工ブラックホールである。
小説
- 『地球帝国』(アーサー・C・クラーク)
- 『ウロボロスの波動』(林譲治) - ブラックホールの周囲に人工降着円盤を作り、そこからエネルギーを取り出す。
[編集] 実現の可能性
重力縮退した星であるブラックホールの周囲に形成された降着円盤から莫大なエネルギーが放出されていることは実際に観測されており、一説にはブラックホールに吸い込まれた質量の30%がエネルギーとして放出されるともいう。このエネルギーを何らかの形で取り出すことができれば正しく縮退炉であるが、残念ながら現在の技術で人類が到達可能な範囲にブラックホールは発見されていない。
大型ハドロン衝突型加速器による極小ブラックホールの検出実験は2008年から行われる予定であるが、これは短時間で蒸発してしまうほどの質量しかなく、縮退炉の炉心で使用するにはあまりに小さすぎる。
分子数個分の質量しか持たないような極小のブラックホールはホーキング放射によって極短時間で質量がエネルギーとして放射されて蒸発してしまう。 なんらかの方法で極小な質量をブラックホール化することが出来れば、その物質は極短時間で質量が熱量へと変換されることになり、極小ブラックホールを作るのに必要なエネルギーがブラックホールが蒸発するときに放出されるエネルギーよりも小さければ直接的に質量を熱量へと変換する装置として機能することになる。しかも、投入された質量は100%エネルギーになり核分裂や核融合のように廃棄物が全く残らない上に燃料は質量があれば何でも良いため燃料を選ばないというメリットがある。しかし、簡単に物質をブラックホール化させる方法が未発見であるため、実用化の方法はまったく不明である。
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
- [1](福江純によるブラックホールエンジンの考察)
- トップをねらえ!科学講座の解説