第三分野保険
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第三分野保険(だいさんぶんやほけん)とは、日本における保険の分類のひとつ。従来、以下に示す「第一分野」と「第二分野」の中間に位置するものとして、両分野に属するもの、あるいはどちらにも属さないものを分類していた。
現在の保険業法では、「第三分野」として明確に規定されている。第三分野保険の特徴として、生命保険ならば生命保険会社、損害保険ならば損害保険会社といったような販売会社の限定が無く、そのどちらもが第三分野保険の商品販売が可能なことが挙げられる。
なお、2010年施行予定の保険法においては、保険契約のうち、保険者が人の傷害疾病に基づき一定の保険給付を行うことを約するものを傷害疾病定額保険として位置づけている(2条9号)。
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[編集] 外資による独占から自由化へ
当初、第三分野の保険を日本国内の生命保険会社や損害保険会社が取り扱う事は、規制により事実上禁止されていた。1974年、アメリカ合衆国のアメリカンファミリー生命保険が日本での営業を開始し、第三分野に属する医療保険としてのがん保険を発売した。外資による独占という政策の下、同社のがん保険における販売シェアは85%以上(1999年)にも達した。
1996年4月、保険業に対する規制緩和を意図した新保険業法が施行され、生命保険業と損害保険業の相互参入が解禁となった。同法は日本国内の保険会社による第三分野への参入も可能とするはずであったが、外資系・米国系保険会社の既得権益の保護を考えていたアメリカ合衆国との協議(1994年から毎年開催された日米保険協議)の結果、第三分野における外資の独占維持は2001年まで延長する政策(激変緩和措置)が決定された。2001年、同措置撤廃の期限を迎えたものの、同年1月に同分野参入が解禁されたのは大手生命保険会社と損害保険会社の子会社生保のみであり、大手損保の市場参入についてはアメリカ合衆国の要求により半年遅れの同7月からとなった[1]。
これをもって初めて第三分野の販売は自由化され、多くの保険会社が参入することとなった。
[編集] 主な第三分野の保険商品
[編集] 第三分野保険における不当な不払い
第三分野保険の自由化に伴い多種多様な商品が登場していった傍らで、2005年、保険業界全体のモラルを問われる不祥事(保険金不払い事件)が発生。その一環で、2006年には三井住友海上火災保険の販売していた第三分野の保険にて悪質な不払いが発覚。その後、他の損保大手(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、日本興亜損害保険、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険)においても相次いで第三分野保険の不払いが発覚し、さらに損保中堅5社(富士火災海上保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険、スミセイ損害保険、明治安田損害保険)や外資系2社(AIU保険、アメリカンホーム保険)においても不当な不払いが行われていたことが判明した。
この第三分野保険における不払いは、契約者が請求したのにも関わらず保険金を支払わないなど、他分野の不払いと比較して悪質さが目立つと指摘されている。その背景には、保障よりも商品の販売に力を注いでいたことにより、1つでも多く契約を締結したい保険代理店や募集人の商品販売時における免責事由等の説明不足といった不備があったり、商品を開発する保険会社自身が大量に溢れる商品の把握ができていなかったりなど、保険業界の利益が先行する業務方針によるものがあった。損保業界では既に2005年11月、2006年9月~10月に掛けての二度に渡る不払い調査で不当な不払いが大量に発覚しており、その直後にこの問題が発覚してしまったことから、保険業界への信頼がさらに薄らぐ要因となった。
2007年3月14日。東京海上日動火災保険、日本興亜損害保険、あいおい損害保険、富士火災海上保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険、ニッセイ同和損害保険、日立キャピタル損害保険、AIU保険、アメリカンホーム保険の10社は、支払い体制に重大な不備があると金融庁に指摘され、業務改善命令(内、東京海上日動火災保険、日本興亜損害保険、あいおい損害保険、富士火災海上保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険の6社は同時に一部業務停止命令)の行政処分を受けるにいたった。[2]
各損保の状況としては、以下の通りである。(2006年11月2日時点で判明していたデータを元にしている)
保険会社 | 件数(件) | 金額(円) |
---|---|---|
三井住友海上火災保険 | 1140 | 2億8,400万 |
損害保険ジャパン | 975 | 2億7,000万 |
日本興亜損害保険 | 833 | 2億1,500万 |
東京海上日動火災保険 | 805 | 2億6,900万 |
あいおい損害保険 | 470 | 1億4,500万 |
ニッセイ同和損害保険 | 142 | 3,700万 |
富士火災海上保険 | 175 | 3,349万 |
共栄火災海上保険 | 154 | 5,536万 |
日新火災海上保険 | 68 | - |
日立キャピタル損害保険 | 11 | 1043万9千 |
明治安田損害保険 | 2 | - |
スミセイ損害保険 | 1 | - |
アメリカンホーム保険 | 158 | 2,104万 |
AIU保険 | 107 | 1,910万 |
合計:14 | 5,041 | 14億7,200万 |
- 表内の「-」は非公表または不明を表す。
- 金額はおよその数値も含まれている。
保険業界全体における保険金不払い問題の歴史や詳細は、保険金不払い事件を参照のこと。