福森雅武

福森雅武（ふくもりまさたけ、1944年（昭和19）-）は、陶芸家。三重県伊賀市出身。7代続く伊賀焼窯元、土楽窯のオーナー。

[編集] 略歴

昭和19年2月13日、伊賀丸柱に生まれる。

16歳の時に父親を亡くし、25歳にて土楽窯七代目当主として継承。

20代の頃は、茶器を扱い「裏千家の秘蔵っ子」と呼ばれる。

その後「生活と仕事が分離したところに、美しいものは生まれない」という信念のもと、食器作りに邁進する。

現在は、土鍋、食器、酒器、花器から、「不動明王」「如意仏」等の陶仏も手がける。

器は、「日々愛用され、空気のようにそこにある」「時間を吸収し、表情を変えていく」「前に出ず、後ろに下がらず」「使えば料理とともに引き立てあう」がモットー。

人々は、親しみをこめて「土楽さん」と呼ぶ。

随筆家　白洲正子氏、漆芸家で人間国宝　黒田辰秋氏、武者小路千家　千宗守氏、ほか、さまざまな人々との出会いに薫陶を受ける。伊賀の自然を感受しながら、花を活け、料理をし、骨董を愛でる暮らしぶりから、白洲正子氏にして「新しい茶人」と称せらる。

随筆家白洲正子の「日本のたくみ」（新潮文庫）にて「土楽さんの焼きもの福森雅武」と題し、志村ふくみ、川瀬俊郎らと並び紹介される。

なんでも鑑定団の鑑定士でおなじみの中島誠之助氏監修の「新しい和食器の本」（主婦と生活社　1997年）に「全国14陶郷の今を代表する、人気陶芸家26人『新作の器』」として伊賀焼きを代表する陶工として藤岡周平氏とともに紹介される。

糸井重里氏が主催するほぼ日刊イトイ新聞と土楽窯のコラボレーションが実現し、「うちの土鍋の宇宙」と題し土鍋「ベア１号」を製作。

中日新聞主催の栄中日文化センターにて、伊賀の土での作陶体験や独自料理を実施する「食と器」に関する教室（「土楽食楽」）を開催。

「土楽窯」では、福森雅武氏考案の土鍋・食器を、職人さんが工房として製作している。土も釉薬も伊賀焼本来の伊賀の土であり、型押しの製品が多くなる中、ろくろによる手造りを守り続けている。土楽窯の代表的な作品は、「黒鍋」「文福鍋」など。

伊賀焼の陶土は、約400万年前まで琵琶湖の湖底だった地層から採れ、熱に強いという特徴があると言われる。