祐延ダム
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祐延ダム（すけのぶダム、すけのべダム）は、富山県富山市有峰（旧上新川郡大山町有峰）、常願寺川水系小口川に建設されたダム。高さ45.5メートルの重力式コンクリートダムで、北陸電力の水力発電所・小口川第三発電所にて最大1万4,500キロワットの電力を発生する。かつては、下池として用いていた真立（まったて）ダム湖との間で水を往来させる揚水発電を実施していた。ダム湖の名は祐延湖（すけのぶこ、すけのべこ）という。
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[編集] 歴史
常願寺川の支流・小口川は、東笠山・西笠山のふもと、東又谷・西又谷を水源とし、北へと流れる河川である。その上流に位置する祐延ダムは、北陸電力の前身・日本海電気によって1928年（昭和3年）に着工、1931年（昭和6年）に完成した。祐延ダム湖左岸の取水口より取り入れた水は下流の小口川第三発電所まで導かれ、600メートルもの高さから落下する水の力を利用して水車発電機を回転させている。完成当時は2台の横軸ペルトン水車を用い、1万4,000キロワットの電力を発生していたが、後に改修され1万4,500キロワットの電力を発生できる水車発電機1台へと更新している。小口川第三発電所の有効落差は現在621.2メートルで（完成当時は612.8メートル）、これは日本の一般水力発電所において第一位を誇る。発電に使用した水は発電所に面した真立ダム湖に放流され、さらに下流の小口川第二・第一発電所へと導かれる。
小口川第三発電所について特筆すべきは日本の揚水発電所としては最初期のものであるという点である。完成から3年ほどが経過した1934年（昭和9年）5月、水車発電機とは別に揚水ポンプが設置された。真立ダム湖に貯えておいた水を、再び祐延ダム湖まで送り返すために使用するものである。水を繰り返し利用できるようにすることで、例えば水不足に陥った際など、使用できる水の量が限られる期間でも発電所の運用に支障が出ないようにした。この揚水ポンプは1968年（昭和43年）に撤去され、これをもって小口川第三発電所における揚水発電は終了している。
小口川第三発電所に揚水ポンプが設置されるわずか1か月前、長野県上水内郡信濃町で池尻川発電所が運転を開始した。池尻川発電所は関川の豊富な雪解け水を野尻湖にくみ上げ、渇水期でも発電できるように備えておくものである。小口川第三発電所と池尻川発電所は日本の揚水発電の先駆けとして並び称されている。
[編集] 周辺
祐延ダムは、有峰ダムから祐延峠を挟んで西に位置し、有峰県立自然公園に含まれている。完成以来数十年もの間、厳しい冬の寒さを経験してきた祐延ダムのコンクリートは、表面がささくれ立っている。1994年（平成6年）には小口川に沿って有峰林道・小口川線が敷かれ、有峰ダムから祐延ダムを経て水須ゲートへと通じている。しかし、この小口川線は水須ゲートから祐延ゲートまでの区間が災害により通行止めとなっている。祐延湖を一望できる高台に展望台が設けられているが、有峰ダムから一般車が通行できるのはここまで。真立ダムと、同ダム湖に面した小口川第三発電所に関しても、林道から外れた山中にあり、管理のための資材運搬用に敷かれた線路の上をトロッコが往来している。ちなみに、小口川ダム付近には小口川記念館があり、かつて小口川第三発電所で使用されていた揚水ポンプが展示保存されている。
 展望台より祐延湖 |
 小口川ダム |
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会編著『角川日本地名大辞典 16 富山県』角川書店、1979年。
- ターボ機械協会編『ハイドロタービン 新改訂版』日本工業出版、2007年。
- 土木学会編『土木工学ハンドブック』技報堂、1964年。
- 富山県「有峰案内図」
- 北陸電力「わが国最初期の揚水発電所『小口川第三発電所』」。
