硫黄島 (鹿児島県)
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硫黄島(いおうじま)は、薩南諸島北部に位置する島。薩摩硫黄島(さつまいおうじま)とも呼ばれる。日本史において鬼界ヶ島を名乗っていたと考えられている島の一つ。行政上は鹿児島県に属する。大隅諸島には、含まれるとする説と含まれないとする説とがある。
東西5.5km、南北4.0km、周囲14.5km、面積11.65平方キロ、142人の島民が住んでいる。竹島、黒島とあわせ、上三島(鹿児島郡三島村)を構成する。
鬼界カルデラの北縁に形成された火山島であり、ランクAの活火山に指定されている。主峰の硫黄岳は標高703.7mで常時噴煙を上げており、亜硫酸ガスによってしばしば農作物に被害が発生する。特に港内は港底から鉄分を多量に含んだ温泉が噴出し、酸素との接触で赤茶色に変色している。硫黄のために島の周辺海域が黄色に変色していることから「黄海ヶ島」と呼ばれ、これが「鬼界ヶ島」に書き換えられたとの説がある。古くは平家物語に語られる俊寛が流刑された地と伝承されている。また島内の温泉ではしばしば全国露天風呂ランキングに取り上げられる東温泉が有名である。島内には民宿5軒、商店2軒があるが、物資の多くは週2便ほどの村営フェリーに依存している。家畜のほか、野生化した孔雀などが多い。
映画「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」が話題になったとき、「硫黄島に行きたい」という人からの問い合わせが相次いだという。なお、この映画の舞台となった硫黄島(いおうとう)は東京都に属しており、観光どころか民間人は特別な場合を除き上陸できない。本島は無関係である。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 三島村誌編纂委員会編 『三島村誌』 三島村長 栗原正、1990年。