破壊魔定光
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『破壊魔定光』(はかいまさだみつ)は、中平正彦のSF漫画作品、またはこの漫画を原作とする同名のアニメ作品である。
平行宇宙論を下敷きとし、主人公定光を守るための、母および本人の戦いを描いた作品。月刊誌「ウルトラジャンプ」に1999年28号から2005年11月号まで連載された。
目次 |
[編集] 原作コミック
[編集] 粗筋
高校生である椿定光は、先輩を助けるためヤクザの事務所に殴り込みをかけた。その際、随行体(ずいこうたい)と称する”ポンコツ”ヘルメットを拾う。随行体「ポンコツ」は、流刑体を管理するため宇宙に漂っていたデータ生命体で、地球人の頭部に装着可能なヘルメットの形態をしていた。「ポンコツ」は定光に流刑体回収の手伝いを求める。清く正しく仁義に生きる不良高校生、定光は先輩を助けてくれた恩として手伝うことにしたが、彼の人生はこれから混乱を極めてゆくことになる。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 登場人物
[編集] 主要な登場人物
- 椿定光(つばき さだみつ)
- 世界的理論物理学者の母と、医師の父を持つ、不良高校生。完全な予知能力、即ち運命の分岐をなくし宇宙の行く末を決定する能力を持つ。これにより宇宙の振動、運命のゆらぎがなくなっていき平行宇宙の枯渇がやがてもたらされるという。これによりいずれ宇宙が崩壊するだろうことからその意味も込め、"破壊魔"と呼ばれる。
- 神代やよい(かみしろ やよい)
- 椿定光の母・椿やよいが TFP によって息子の未来が波乱のものであることを知り、その助けにと息子を守れるだけの力を持った可能性としての自分として、半径100メートルの内側に閉じた、因果律から隔離された平行宇宙に作った存在。定光と同じ17歳。定光に対して母のような強い守護意識を持つ反面、女としても定光に惹かれてもおり、明らかに定光の母親である椿やよいとは違う、独立した存在になっている。血液型は人間のものではない。ヴァルチャーのオーナーだったが、後にヴァルチャーを取り上げられ代わりにヴァルチャーの人工知能をインストールしたネコミミを所持する。
- コオネ・ペーネミュンデ
- 旧ナチス・ドイツの超人計画によって作られた超能力者。実は60年前に既に死亡しているが、定光と出会うために自身の超能力を用いゾンビ化して少女の姿を保ち続けている。様々な生物の肉体(流刑体含む)が移植されており、瞬間移動、サイコキネシス、体組織復元(自他問わない)能力を持つ。能力を全て開放した彼女の戦闘能力はヴァルチャーを凌駕する。
- 狗隠(くおん)
- コオネと同じくしてナチスにより作られた超人。コオネ死亡の原因となった定光を恨んでいる。第2次世界大戦後からCIAに所属し、17年前に椿やよいを交通事故を装って殺害した。多数の流刑体の細胞を使用したキメラである。自己の遺伝子をコントロールすることで瞬時に他生物の器官を作成する能力を持ち、また高い創傷治癒能力を持つ。本来、狗隠という名は彼に移植された流刑体の内の一体の名称である。彼自身は、本名であるノウム・ペーネミュンデより、狗隠と呼ばれる事を好む。
- コオネはイギリス、狗隠(ノウム)はアメリカによって流刑体の移植手術を受けた。またペーネミュンデとは旧ナチス・ドイツがV2ロケットを開発した場所である。
- 敵(てき)
- 2巻の最後でその存在が明らかになり、3巻以降、本格的に活動を開始する。この「敵」の登場により、定光と流刑体の戦いは大きく変化することになる。その正体は、他の平行宇宙の「椿定光」で、宇宙を崩壊される危険性のある"破壊魔"を抹殺する事が目的。その為、植物のようなアンテナで流刑体を操り、やよいや定光に襲い掛かってくる。普段はチャットルームと呼ばれる仮想空間に潜伏しており、学ランと特攻服を着た2人の定光に姿を変えている。
[編集] 平行宇宙の椿定光
- 流刑体定光
- 流刑体の存在しない世界の椿定光。破壊魔[主人公]に憧れを抱いており、破壊魔の名前が欲しいが為に、流刑体が存在しない為か標的を人間に定め殺戮を繰り返す。最後に破壊魔[主人公]に流刑体定光と命名された後、破壊魔にポンコツ[流刑体定光が所持している]を破壊されあえなく捕まる。この世界のポンコツは拳撃による攻撃を得意とする。
- 女定光
- 文字通りの「椿定光が女だったら」の世界の椿定光。ここでは巨乳のレディース、コオネは留学生となっている。敵の居場所を記した平行宇宙座標をアノンから知らされていたために敵が憑依した欺机に襲われ、ネコミミを装着し応戦したがネコミミのスペックが女定光の戦闘スタイルと合わず苦戦する。しかし間一髪でポンコツとネコミミのパーツで修理した(彼女のポンコツは壊れていた)ポンコツを装着した神代が駆けつけ助かった。この世界のポンコツは、破壊魔のポンコツとネコミミのパーツで出来ているため遠近両方に対応できる。武器はショットガンと刀。
- アノン
- 天才的な頭脳を持つ、科学者の椿定光。破壊魔の予知能力による自分の平行宇宙の崩壊を阻止しようと研究を進めるものの、その崩壊を止める事はできなかった。崩壊寸前の平行宇宙で破壊魔[主人公]と交戦した後、「椿やよい」のいる平行宇宙の場所を記したディスクを破壊魔[主人公]に渡した。「椿やよい」を殺害し、全ての「椿定光」の存在を消滅させることで宇宙の崩壊の危機から救うことを提案するが、逆上したやよい[神代]に頭部を撃抜かれ、死亡する。アノンのポンコツは、棍棒を武器とした接近戦を得意とする。なお、50話において肉体の崩壊を阻止する為の薬を渡したミイラの正体も、その薬を開発したのもアノンである。
- 定(ジョウ)と光(ヒカリ)
- 双子の定光で、チャットルームに度々姿を現していた2人の定光、つまり「敵」の本来の姿である。2人の会話から察するに、学ランを着ていたのが女の「光」で、特攻服を着ていたのが男の「定」と思われる。破壊魔とやよい[神代]とは2度交戦しており、最初は「椿やよい」を殺害しようとする破壊魔を止めるべく立ちはだかったが、2度目の時は全ての平行宇宙を救う為に自害を決意した「椿やよい」の邪魔をする破壊魔達と対立した。定のポンコツは弓矢を使った遠距離攻撃、光のポンコツはハンマーを使った近距離攻撃を仕掛けてくる。単体でも十分強力な武器だが、2人の同時攻撃による「ヴィクトリーコンビネーション」は絶大な威力を誇る。この2人のポンコツは、他の平行宇宙のポンコツ達とは明らかにデザインが異なっており、また一言も言葉を発していない。この事については結局最後まで語られておらず、深い疑問が残る。
[編集] 流刑体
名称の判明している流刑体。(作中登場順)
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[編集] 用語解説
- TFP
- 正式名称は、Time Fragmentation Project。椿定光の母親、椿やよいが立案した。本来は自分たちの存在する宇宙の今までの歴史の一部分が一致する平行宇宙を作成し、自分たちの宇宙と極めてよく似た平行宇宙を観測することで自分たちの宇宙の未来を予測する計画というのがこの漫画の初期における設定。話数が下るにつれこの設定は変形し、最新単行本10巻においては神代やよい曰く、「椿やよいが平行宇宙に断存する可能性としての自己の自我、それらを統合することで人類に新たな進化(詳細な説明はない)をもたらすために立案した計画」ということになっている。しかし実際はもっぱらこの計画の要である装置の名前として使われている。その機能は任意の時代の、任意の平行宇宙の、任意の場所に物体を転送するものである。
- アクティヴデバイス
- 重力素子の回転数制御により重力制御を可能をする装置の一般名称。発生する高重力を利用して局所的時間停止、それにより一部の空間を絶対座標系に対して固定、または保存を可能とする。
- 重力素子
- 高質量にして極小のドーナツ型円盤。通常は超高速回転をしておりその遠心力で自身の重力を相殺している。回転数が下がれば周囲に対し重力を及ぼすようになり、停止するとブラックホールの蒸発によってその高質量がそのままエネルギーに変換され大規模の爆発を起こす(なお現実では、見かけの力である遠心力によって物体自身の発する重力波に影響が及ばされることはないため、この重力の相殺は不可能である)。
- 流刑体(るけいたい)
- 他の惑星において犯罪を犯し流刑とされた異星人。永久に宇宙をさまようはずであったが、軌道上に地球が存在した為に、およそ2千万体が地球に落下した。実は平行宇宙における椿定光が変質崩壊を避けてこの宇宙に現前するため転生したもの。概ね人類と同程度の知能を持ち、姿は様々である。また、そのほとんどが戦闘サイボーグであるという。
- 随行体(ずいこうたい、通称ポンコツ)
- 流刑体を管理するために宇宙を漂う「ディジット」の無人パワータイプ端末。有人での運用も可。アクティヴデバイスを装備している。
- ヴァルチャー
- 宇宙情報管理システム「ディジット」の有人型セキュリティ端末。アクティヴデバイスにより宇宙船としての装備、機能を宇宙服程度の大きさに縮めてあり、装備するジェノサイドガンは目標に対し重力素子を射出したあとそれにブラックホールの蒸発をさせて大規模の破壊を行う武器。
- ディジット
- 宇宙航行に莫大な時間を要した時代において、その莫大な時間によって互いに異なる惑星生命間で取り交わされた情報がどちらか一方にでも忘却されてしまわないようにその存在証明を行うための巨大な情報ネットワークと記憶管理システムの総称。記憶装置のマザーボールと、収集・保全・管理等を行う各種端末群によって構成される。
- ドミニオ
- 「ディジット」のステルス型攻撃宇宙巡洋艇。マザーボールの保安やパワータイプからの情報をマザーボールに持ち帰る役割を持つ。高度なステルス機能と瞬間移動能力を持つ。
[編集] 単行本
全12巻。全巻とも福島トオルデザインのメタリック光沢の印刷を施したカバーを使用している。
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[編集] アニメ
アニメはWOWOWで2001年1月から放映された。ストーリーは原作とは異なったオリジナルであり、登場人物(流刑体含む)の設定などもかなり差異が見られる。DVD版には田中理恵による「川口・いい旅夢気分」や野川さくらによる「現場知ってるつもり」等が特典映像として収録されている。
[編集] スタッフ
- 原作:中平正彦(集英社「ウルトラジャンプコミックス」刊)
- エグゼクテイブプロデューサー:白川隆三(ANIPLEX)
- 企画プロデューサー:佐野総一郎(ANIPLEX)
- シリーズ構成:赤星政尚
- キャラクターデザイン:菊池晃
- クリーチャーデザイン:篠原保
- 美術監督:野村裕樹(石垣プロダクション)
- 色彩設計:もちだたけし
- 撮影監督:近藤慎与(め組)
- 編集:松村正宏(JAY FILM)
- 音楽:中シゲヲ(ザ・サーフコースターズ)、岩崎琢
- アフレコ演出:三ツ矢雄二
- 音楽監督:児玉隆
- サウンドデザイン:山田稔
- 音響制作:神南スタジオ
- キャスティング:ネルケプランニング、野上祥子
- アニメーションプロデューサー:飯嶋浩次(スタジオディーン)
- プロデューサー:藤本昌俊 (ANIPLEX)
- 監督:大畑晃一
- アニメーション制作:スタジオディーン
- 製作:ANIPLEX
- 著作:©中平正彦 / 集英社、ANIPLEX
[編集] キャスト
WOWOW 水曜18:30枠 | ||
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破壊魔定光
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