狂言回し
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狂言回し(きょうげんまわし)とは、物語のほぼ全般にわたって、物語の進行に重要な役割を果たすキーパーソンのこと。狂言の世界から生まれた言葉。今ではあらゆる分野のフィクション全般で広く使われる。
大雑把に言うと「進行役」と解釈しても良いが、進行役とは多少ニュアンスの違う役柄の場合もある。進行役と言うと終始出ずっぱりの様な印象であるが、狂言回しは必ずしも終始出ずっぱりとは限らず、物語を結末に向かって進めるための要所要所で顔を出して重要な役柄を果たす場合がある。
主人公ではないことが多いが、物語の根幹に関わるシーンで重要な役目を果たすことから、主役以上に強く印象に残ることがある。
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[編集] 狂言回しの例
[編集] 演劇
- マントヴァ公爵(リゴレット)
- 女ったらしの貴族。その女好きが祟って、リゴレットに命を狙われるが持ち前の悪運で逃げ出してしまう。
- マダム・ジリー(オペラ座の怪人)
- オペラ座のバレエ教師。クリスティーヌが脚光を浴びるきっかけを作ったり、ラウル子爵にファントムの正体を教えたりと要所要所で活躍する。『映画版』ではファントムをオペラ座に引き入れた張本人。
[編集] 映画
- 大迫 力(平成ガメラシリーズ)
- シリーズ中に何度も怪獣に遭遇したり、主人公たちと同行したりしている
- 物乞いの女(スウィーニー・トッド)
- アンソニーにジョアナの素性を教えて同情心(恋心)を抱かせたり、ミセス・ラベットの悪行に真っ先に感づいて騒ぎ出すなど、物語を動かす上での重要な役どころを勤めている。そして、彼女自身にもある秘密が…。
- C-3POとR2-D2 (スターウォーズシリーズ)
- シリーズ全作に出演し、たびたび狂言回し的な役割を演じる。
- S.R.ハデン (コンタクト)
- 主人公エリーの支援者。プロジェクトが停滞する要所でたびたび登場し、資金援助や暗号キーの解読などによりその後の物語を急展開へと導く。
[編集] 漫画・アニメ
- 銭形警部(ルパン三世)
- ルパンの宿敵であるライバル。大抵はやられ・いじられ役であるが、ごくまれにルパンをも凌駕する活躍を見せる。
- ねずみ男(ゲゲゲの鬼太郎)
- 自称・鬼太郎の親友。持ち前の怪奇趣味が災いして度々事件の発端になる。また敵に取り入ったり鬼太郎に擦り寄ったり対妖怪関係には洞ヶ峠を決め込んでいる。悪知恵の働く狡猾な性格で常に不潔。彼の口臭や放屁はした相手に瀕死のダメージを与える。
- 超人ロック
- 彼は一応主人公であるが、不死の超人であるため物事を達観し、表舞台にはほとんど出ようとしない。それでいて千年単位で刻まれる宇宙年代記の歴史の転換点に必ずと言ってよいほど立会い、歴史の影で重要な役割を果たすため、狂言回し的な役割の主人公キャラと言われることがある。
- 火の鳥
- 役割は上記にある超人ロックと同様。
- 峠草平(アドルフに告ぐ)
- 本作の冒頭で自らを狂言回しであると語っている。オリンピックに沸きあがるベルリンで起きた弟の不審な死に方から物語は始まり、本作におけるキーワードである「手紙」を手にしたことから自身も陰謀に巻き込まれていく。
- 本作の主人公である3人のアドルフが全員死に絶えた後、この一連の事件を書き記した本を記し、本作は彼の回想という形式を取る。
- シャア・アズナブル(機動戦士ガンダムシリーズ)
- アムロ・レイの宿命のライバルにして、宇宙世紀に起こった一年戦争、グリプス戦役、第二次ネオ・ジオン抗争で軍人・政治家として多大な影響を与えた人物。
- その突出した実力とジオン・ズム・ダイクンの息子であるという出自から、絶大なカリスマ性を持って人々を魅了した。
[編集] ドラマ
- 今泉慎太郎 (古畑任三郎)
- 古畑の小間使いとしてチョコマカしているだけの単なるお笑い要員(にぎやかし)の様に見えるが、彼の何気ない言動を鍵にして古畑が事件解決の閃きを得ることがとても多い。
[編集] 小説
- ブギーポップ(ブギーポップシリーズ)
- 本作の主人公は一巻ごとに交代し、ブギーポップは最後にだけ登場して物語を締める役割である。「火の鳥」や「超人ロック」と同じく、狂言回しタイプのタイトルロール。
- ミリア&アイザック(BACCANO!シリーズ)
- 第1巻から登場する馬鹿ップルであり、1930年のとある事件で共に不老不死となる。(本人達がそれに気付いたのは2001年になってからである)本作は各巻でそれぞれ半ば独立した事件を描いているが、時代や物語の背景は同じである為、同一の登場人物が多々登場する。特にこの二人は2巻以降も(本人達が一番自覚が無いにもかかわらず)それぞれの話の方向性を決定付けるキーパーソンとして登場し続ける。