片岡鉄兵

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片岡鉄兵（かたおかてっぺい、1894年(明治27年)2月2日 - 1944年(昭和19年)12月25日）は、大正・昭和前期の小説家。岡山県苫田郡鏡野町に生まれる。｢鉄平｣と表記されることもある。

上京し慶應義塾大学に進学したが出席日数が不足したため中退、一時帰郷。様々な職を転々としながら小説を書き始め、各雑誌・出版社に投稿を行う。1924年(大正13年)、横光利一や川端康成らと文学雑誌｢文芸時代｣を創刊し、創作活動のみならず評論活動や翻訳活動にも手を付けた。これにより、新感覚派の一員として本格的に文学活動に入る。当時の代表作には『綱の上の少女』『にがい話』『若き読者に問う』などがある。また『椅子の脚の曲線』という推理小説も執筆している。

また独自に1927年(昭和2年)文芸雑誌｢手帖｣も発刊。En Familleの翻訳『あゝ故郷』(昭和2年)で芸術的な翻訳を目指すなど、順調な文芸生活に思えたが、昭和3年ごろから左傾化し始め、更に同時期に今東光の脱退や仲間内での意見の対立などにより新感覚派は事実上消滅した。

以後はプロレタリア作家として活動する。昭和3年、『左傾について』『予の左傾と『前衛』入りについて』を執筆。これ以降、『いける人形』『今度こそ』『卑しき者』『愛情の問題』『綾里村快挙録』などを続々と発表、左派きっての論客となった。しかし昭和7年官憲に逮捕・投獄され、獄中で転向声明を出す。以後は大衆小説の執筆や翻訳活動に力をいれ、『菜の花月夜』『朱と緑』などを発表した。1944年(昭和19年)12月25日、和歌山県田辺市の友人宅を訪問中に肝硬変の発作により急死した。享年50。墓は東京都府中市の多磨霊園にある。郷里の鏡野町には胸像も建てられている。