無誘導爆弾
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無誘導爆弾(むゆうどうばくだん、Gravity bomb)または自由落下爆弾(じゆうらっかばくだん)は、航空機搭載爆弾の一種。単に航空機から投下する爆弾を示す。最も古くからあるタイプの航空機搭載爆弾。
[編集] 概要
爆弾本体(信管・炸薬・弾殻)と安定翼のみで構成されている。投下方法は、航空機から投下(切り離し)するのみである。第二次世界大戦の中盤に誘導爆弾が開発されるまでは、航空機搭載爆弾にはこれしかなかった。
誘導爆弾やミサイルの開発後も、航空機における主力地上攻撃武装として使用された。初期の核爆弾も航空機から投下するのみの無誘導爆弾となっている。湾岸戦争においても投下量自体は、誘導兵器よりも無誘導爆弾の方が多い。1990年代のユーゴ紛争より、急激に誘導爆弾使用割合が増加し、無誘導爆弾の使用が減少した。
現代の無誘導爆弾には、空気抵抗板やパラシュート・バリュートが取り付けられた減速爆弾というのものがある。これは、低空から爆弾を投下すると、爆弾炸裂の影響(衝撃波や四散する破片)が投下母機に及ぶため、空気抵抗により爆弾の落下速度を下げ、母機の退避時間を稼ぐというものである。この爆弾には、水平速度の減少により降下角が深くなり、爆弾がより効果的に炸裂するということもある。
[編集] 投下方法
無誘導爆弾の投下にあたっては、爆弾には空気抵抗以外に、重力と航空機自体の持つ運動エネルギーを計算に入れる必要がある。そのため、目標に命中させるにあたっては、目標直上で投下するのではなく、自機の速度・高度も考慮に入れ、目標手前で投下する必要がある。第一次世界大戦においては、投下の見越し角度は全て目測によるものであったが、第二次世界大戦では水平爆撃の他、急降下爆撃も行われ、大戦中に照準機の機械化が進められた。現在ではコンピュータにより投下タイミングが自動計算される。
さらには、自機の速度・高度を大いに利用したトスボミングという投下法もある。これは、急上昇を行いながら爆弾を切り離すことで、より遠方に爆弾を放り投げることができる方法である。目標と自機の距離をとることができるが命中精度が低下するため、主に低高度からの投下や、自機と爆弾の距離を稼ぐ必要のある核爆弾の投下法として使用された。