液冷
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液冷とは内燃機などの発熱する物体を冷却する場合に液体を用いて熱を移動させる方式である。液体として水を用いる場合が多いが、冷却用の液体や部品の劣化防止および沸点上昇の目的で何らかの物質を加え水溶液として用いる場合が多い。内燃機の場合は潤滑用のエンジンオイルを用いることもある。冷却用の液体に水または水溶液を用いる場合は特に水冷と呼ぶことが多い。
液体に熱を吸収させて別の場所で放熱させることができるため、結果として放熱する面積を増加させることが容易であり、周囲の空気を用いて冷却する空冷よりも効果が高くできる。しかし水冷では冷却用の液体が必要になること、液体が漏れてしまった場合に他の部品を損傷させたり放熱できなくなる場合があること、ポンプなどの部品が必要になるなどの短所がある。
1960年ころまでは自動車のエンジンには空冷が用いられることもあったが、1970年ころからほぼすべての自動車で水冷が採用されている。オートバイではエンジンのシリンダーやシリンダーヘッドを覆い隠す必要がない場合などでは2006年現在でも空冷が採用されることがある。
2000年ころよりパーソナルコンピュータのCPUなどの冷却に液冷が用いられることが増えた。発熱の大きいCPUに対応できる放熱用のヒートシンクを大きくすることを嫌う場合と、空冷用のファンが出す騒音を嫌う場合に液冷が用いられる。