水滸伝・天命の誓い
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ジャンル | 歴史シミュレーションゲーム |
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対応機種 | PC-8801 PC-9801 MSX FC PS SS Macintosh Windows95-XP |
開発元 | 光栄 → コーエー |
発売元 | 光栄 → コーエー |
人数 | 1-7人 |
メディア | CD-ROMなど |
『水滸伝・天命の誓い』(すいこでん・てんめいのちかい)は、1989年にコーエー(発売当時は「光栄」)からPC-88版が発売された歴史シミュレーションゲームである。家庭用ゲーム機へも移植されている。中国の明の時代に書かれた小説で四大奇書の一つである「水滸伝」をベースにしている。7人までのマルチプレイが可能になっている。
人物同士の相性、プレーヤー本人のいない領土には直接命令することができない、勢力拡大などによってある程度の人気を得ないと敵の本拠地に攻め込むことができない、ゲーム内でのタイムリミットの設定など新趣向が多く盛り込まれた。Windows向けにもリメイクされ、このリメイク版はその後コーエー定番シリーズやソースネクスト販売の廉価版としても発売されている。さらにはダウンロード販売も行われている。また「コーエー25周年記念パック」のVol.6にもPC-98版が復刻収録されている。
目次 |
[編集] 概要
ゲームの目的は、朝廷の奸臣高俅の打倒である。プレイヤーは好漢のうちの一人を選択し、仲間を集めたり、領土を得たりしながら軍事力をつけ「人気」というデータを高めていく。「人気」が一定の値に達すると、徽宗皇帝から高俅討伐の許可である勅命が下され、初めて高俅の本拠地への攻撃が可能になる。
それまでの光栄の歴史シミュレーションゲームのほとんどが「天下統一」などをゲームの目的としていたのに対して、本作では前述の通り、高俅打倒が目的となる。非常に極端に言えば、たとえ領土を1つしか所有していなくてもゲームクリアが可能になっている。これはそれまでの歴史シミュレーションゲームには無かった斬新なシステムだったが、同じ光栄から発売された信長の野望シリーズや三國志シリーズがその後も続編が製作されているのに対し、本作は『水滸伝・天導一〇八星』が続編として作られたのみで、それ以降続編は2008年現在製作されていない。
また、本作の特徴の1つには「タイムリミット」があり、靖康の変のある1127年までにクリアしないと、金国が侵攻してきて自動的にゲームオーバーとなる。光栄の他の作品では、一度勢力を拡大すると、後は弱い相手との戦いのみで手応えがなくなる」と言うものがある。この作品は最終的に攻略する高俅が非常に強い勢力を持っていること、タイムリミットがあることなどでこの欠点をある程度克服している。
総登場人物数は255人で初代「三國志」レベルであるが、扈三娘、孫二娘など女性キャラが多いのも特色で、潘金蓮、李師師など脇役的人物まで登場する。
[編集] ゲームの流れ
最終目的は悪大臣・高俅を打倒することであるが、高俅がいる東京開封府には皇帝の勅命が無いと進軍できない。そこで領地(主人公が無頼漢なので「縄張り」といったほうが適切だが)を増やし、住民の「共鳴」を上げて「人気」を獲得する。本作では1ヶ月が1ターンとなっており、ターン順はランダムに決定され、ターンが回ってきたらプレイヤーの好漢とその義兄弟に命令を出す。プレイヤー好漢以外が統治する府州は基本的に「委任」であり、好漢と義兄弟の契りを交わした「義兄弟」が統治する府州のみプレイヤーが直接命令を下せる。
プレイヤー担当の好漢が府州(宋を構成する小さな国々、本作では全部で49ある)を統治中か、各地を逃亡中かで実行できるコマンドは異なる。府州を統治中の場合は、統治国の国力や軍事力、住民の「共鳴」を上げていき、必要に応じて領土拡大を行うこととなる。一方逃亡中の場合は仲間を増やしつつ、ねぐらとなる府州を探す。逃亡の際には仲間の無頼漢を9人まで連れて行くことができる。ねぐらにすることとした府州が既に他の勢力のものの場合は戦争となる。
こうして「戦略」と「戦争」を繰り返しつつゲームを進行していき、「人気」が250を越えた状態で1月を迎えれば皇帝に認められ、「高俅討伐」の勅令を得られる。「人気」は主人公と無頼漢の「名声」でもあり、高能力の他の人物も「人気」の高さで傘下に入れることができるようになる。
[編集] 戦争と四季
戦争は、「四季」によって画面も地形効果も変化する独特のもので、それぞれ次の通りである。
- 春(3-5月) - 曇天が多く、曇りが条件の「妖術」が使いやすい。
- 夏(6-8月) - 雨が多いため「火計」が使いにくい。
- 秋(9-11月) - 夏とは逆に空気が乾燥し、落ち葉が多いので「火計」向き。
- 冬(12-2月) - 川や湖が凍結し、徒歩で渡ることが可能となる。
[編集] 人物データ
登場する一人一人の人物は能力データ「腕力・技量・知力」のほかに、彼らの個性を特徴付けている「忠義・仁愛・勇気」の3つの精神データを持ち、これらは人物同士の相性のほかにゲーム中の様々な事柄に影響してくる。
- 腕力 - 本人の腕っぷしの強さ。力仕事や戦争時に関係してくる。最高は95の魯智深・李逵。
- 技量 - 本人の器用さ。調達・物品製作や戦争時の遠距離攻撃などに影響してくる。最高は95の花栄。
- 知力 - 本人の知識や賢さ。高いと計略や外交などに有利。80以上で妖術が使える。最高は95の呉用。
- 忠義 - 本人の忠義を重んじる度合い。高いと訓練に有利だが、宴会に不利。最高は100の林冲。
- 仁愛 - 本人の仁愛を重んじる度合い。高いと施しや奉仕に有利だが、調達に不利。最高は100の宋江。
- 勇気 - 本人の勇気を重んじる度合い。高いと狩猟に有利だが、外交に不利。最高は100の李逵。
これら全ての最高値は100で、その他「体力」や「年齢」、「操舵」などのデータも存在する。
腕力・技量・知力の能力データには経験値が設定され、各コマンドをこなすことで、経験値が100になるごとに能力が1向上していく。ただし「体力」の制限も存在し、体力が低いときに命令すると、「気分が乗らない」と断られる。また逃亡中は経験値が得られない。
一方精神データは、どれだけその人物が、3つのそれぞれの精神を重んじているのかを表し、3つの中で一番高い値を示すものが本人の性格タイプを決定する。例えば忠義の値が一番高い人物は、忠義を最も重んじる「忠義の人」扱いとなり、他の「忠義の人」とは相性が良くなる。仲間に加えたり、義兄弟の契りを交わしたりする際には重要となる。能力データと異なり、精神データは変化しない。
[編集] シナリオ
- シナリオ1 1101年 「林冲、高俅の手先を斬り逃亡するのこと」
- 選択できる好漢 林冲 武松 魯智深 楊志 史進(いずれも逃亡中)
- シナリオ2 1103年 「宋江、あやまって閻婆借を殺害し逃亡するのこと」
- 選択できる好漢 宋江 武松 魯智深 晁蓋 楊志 林冲(以上逃亡中) 史進(25-河中府)
- シナリオ3 1104年 「宋江、反詩を吟じ捕らえられるのこと」
- 選択できる好漢 魯智深(6-青州) 史進(25-河中府) 晁蓋(10-鄆州) 李俊(48-饒州) 李逵(逃亡中)
- シナリオ4 1105年 「晁蓋、史文恭の毒矢に当たり戦死するのこと」
- 選択できる好漢 魯智深(6-青州) 史進(25-河中府) 李応(9-沂州) 宋江(10-鄆州)
MSX2版ではシナリオ数が2本少なくなっており、内容も若干異なる。
- MSX2版シナリオ1 1101年 「林冲、高俅の手先を斬り逃亡するのこと」
- 選択できる好漢 林冲 武松 魯智深 楊志 史進(いずれも、逃亡中)
- (他機種版のシナリオ1と同じ)
- MSX2版シナリオ2 1104年 「晁蓋、宋江を刑場より助け出すのこと」
- 選択できる好漢 魯智深(6-青州) 史進(25-河中府) 晁蓋(10-鄆州) 李俊(48-饒州) 李逵(逃亡中) 宋江(逃亡中)
- (他機種版のシナリオ3と同じだが、他機種版では罪人となっていて選択不可能な宋江が逃亡中の好漢として選択可能)
[編集] 外部リンク
- 水滸伝・天命の誓い 製品案内 コーエー公式サイト
- ソースネクスト製品情報
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Vol.1 | 信長の野望・全国版 維新の嵐 伊忍道 打倒信長 |
Vol.2 | 三國志 ロイヤルブラッド ヨーロッパ戦線 |
Vol.3 | 蒼き狼と白き牝鹿 ジンギスカン 大航海時代 ランペルール |
Vol.4 | 信長の野望 戦国群雄伝 源平合戦 三國志英傑伝 |
Vol.5 | 三國志II 太閤立志伝 項劉記 |
Vol.6 | Winning Post 水滸伝・天命の誓い 蒼き狼 元朝秘史 |
Vol.7 | 信長の野望 武将風雲録 大航海時代II エアーマネジメントII |
関連項目 | コーエー コーエー定番シリーズ |