歪みの国のアリス
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『歪みの国のアリス』(ゆがみのくにのアリス)とは、ナイトメア・プロジェクトが製作する携帯電話向けのホラーアドベンチャーである。
本作は、不思議の国のアリスをベースとしており、登場人物についてもそれに則したものとなっている。
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[編集] 概要
このゲームは所々で選択肢が現れ、選んだ選択次第でその後のストーリーや結末が変化するサウンドノベルである。主人公・葛木亜莉子がある日、日常から非日常へと巻き込まれ、チェシャ猫と共にシロウサギを追いかける冒険を通して物語の真実を知ることとなる。不思議の国のアリスをベースとした世界観はメルヘンチックでシュール、時に面白おかしく、そして過激・残酷に描ききられている。 前編・後編に分かれており両方ともダウンロードして初めて一つのゲームとなる大長編である。全8章で第1~4章が前編、第5~8章が後編となり、前編が伏線を含んだプロローグ、後編が舞台の真実を知る完結編といった形になる。最終章である第8章までにも選択肢によりエンディングを迎えることもあり、そのエンディングはNORMAL ENDと呼ばれ、物語の最後に迎える複数のエンディングがTRUE ENDと呼ばれる。また、一つのエンディングを迎えても物語の全体像を掴む事はできず、NORMAL END、TRUE ENDを含めた全てのエンディングを見届ける必要がある。NORMAL ENDを迎えてもひとつ前の選択肢に戻ることができる、一度選んだ選択肢は色が変わる、確認したエンディングはセーブされる、等のことからもその姿勢を伺うことができる。
[編集] あらすじ
放課後の自習室で目覚めた葛木亜莉子。目の前には、灰色のローブを被った男が居た。 男は「チェシャ猫」と名乗り、亜莉子の事を「アリス」と呼んだ。 「さぁ、シロウサギを追いかけよう」。この一言から、亜莉子は歪んだ日常へと足を踏み入れることになった。 シロウサギを追いかけるその先に待つ真実とは……?
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 登場人物
- 葛木亜莉子(かつらぎ ありこ)・アリス
- 本作の主人公。夢見がちな性格だが、母子家庭なのでしっかりしている面もある。
- 父親は4歳の時に亡くなっており、そのショックのせいか、4歳までの記憶があまりない。(父親は人形をとりに火事の家に入りでられなくなってしまった亜莉子を助けに行ったかわりになくなってしまった。)
- 父親を亡くしてしまうきっかけを作ってしまったことにより、母親に強く当たられ、暴力をふるわれた。
- 小さい頃に「歪みの国」を作り出した。が、母親に「歪みの国」の存在を強く否定され、母親に嫌われたくないがゆえに「歪みの国」の存在を否定し、記憶をなくした。
- 幼い頃、自分のことをアリスと呼び、アリスと呼ばれないと返事もしない時期があった。
- チェシャ猫
- 亜莉子の目の前に突如現れた謎の男(?)。(本来製作者側では中性的な存在にするつもりだったが、男っぽくなってしまったのでもう男でもいいかとコメントしている。女でもいいらしい。)
- 常にフードを被っており、耳元まで裂けた大きな口しか見えない。
- 灰色のフードコートを着ている。その下には同じ色の全身タイツをはいているらしい。
- チェシャ猫はアリスを導く者であり、番人の次にアリスから遠い存在。
- チェシャ猫は導くもののため、アリスの意思をこえることは出来ない。そのためアリスが何か提案する度に「僕らのアリス、君が望むなら」と付き従う従順さを見せる。
- 見た目は人間のようだが、「二本足で歩く猫」らしく、手足を折るようにしてうずくまる、喉をぐるぐる鳴らすなど、猫らしい行動を見せることがある。因みにマタタビを与えると普通の猫と同じ反応をするらしい。
- 本人によると、猫はおいしいが、四本足で歩く猫はおいしくないらしい。
- 女王様に首を切断された後、首と体に別れて動く。体には耳がないので言うことを聞かず自由に駆けて行ってしまう。
- シロウサギ
- 白いワイシャツにグレーのスラックスを履いている。
- アリスが「歪みの国」への道を閉じた後アリスの歪みを(雪乃として)近くで吸い続けていたが、アリスが壊れてしまった夜に歪みを吸いきれなくなってしまい、くるってしまう。
- アリスの行く手に現れては消えるのは記憶のかけら。
- 記憶のかけらのため、姿が透けている。
- 雪乃
- 亜莉子の幼い頃からの親友でクラスメイト。
- 本当はアリスの近くで歪みを吸い取るためにいる、シロウサギ。
- アリスが必要としたときに現れるため、実際にクラスで授業を受けていたわけではない。そのため、亜莉子のクラスメイトや担任などは雪乃の存在を知らない。
- 女王様
- 首狩りの城に住む少女。
- ばら色のドレスを着て、背丈より大きい大鎌をもっている。
- 首が大好きで廊下には人間に限らず色々な生首を並べているが、首から下は嫌いなのでエントランスホールに放ったらかしにしたままにしている。
- 首がないものは嫌いなため、ウミガメモドキは嫌い。
- アリスのことが大好きなため、鎌でアリスの首を切断しようと狙う。
- 年齢はアリスよりいくつか年下。かわいらしい声で喋る。
- 葛木由里(かつらぎ ゆり)
- 亜莉子の母。
- 夫を亜莉子の所為で失ってしまい、そのことにより亜莉子に強く当たるようになる。が、影ではそのことを悔いていた。
- 亜莉子に手を上げることなどを父親に厳しくしかられ、実家から亜莉子をつれて出て行った。
- 包帯女
- 顔を包帯で覆った血だらけの女。
- アリスに対し憎しみを抱いているらしく、突然現れてはアリスを追ってくる。
- 和田康平
- 亜莉子の母方の叔父。亜莉子が小さい頃母の実家で一緒に暮らしていた。
- 年の離れた姉(アリスの母)と義兄(アリスの父)にかわいがられていた。
- 義兄の死後、姉が実家で暮らすことになった当時は高校生。父と姉が喧嘩したりしたときに泣いているアリスをよく肩車して散歩した。
ロリコン疑惑がある。
- 葛木寿生(かつらぎ ひさお)
- 亜莉子の父。亜莉子が幼い時に火事で亡くなっている。
- 武村正晴
- 亜莉子の母の婚約相手。
- 亜莉子の母に刺され、入院している。
- 亜莉子の母に近づいたのは、亜莉子のことを好きになったから、という理由をにおわせている。
- 廃棄くん
- 全身カビだらけのストロベリージャムパン。「廃棄くん」という名前は亜莉子がつけた。
- 元は最高の出来のパンだったが、ウカレウサギのせいで床に落ち、食べられなくなった彼は廃棄されることになった。が、廃棄になることを拒み、アリスが来るまで拒み続け、誰かに食べてもらうことを望んでいた。
- アリスのおかげで公爵夫人に食べられる事になった。
- ハリー
- 話すハリネズミ。エプロン着用。
- 絆創膏親方は彼の背中のはりをまち針代わりに使っている。号泣すると、針を飛ばしてしまう。
- 服のお礼にアリスの腕を1本貰おうと狙っていた。
- 絆創膏親方
- 仕立て屋の主人。亜莉子に伸縮自在な緋色のエプロンドレス『アリスの服』を渡す。体中絆創膏だらけなのはハリーのせい。
- アリスを助けにきたチェシャ猫によって、頭にピンクと黄色のマチ針の花を2本さかせてしまう。
- 公爵夫人
- 結婚式以来12年間、休みなく食事をとり続けている巨大な女性。
- 結婚の際に公爵さまに「なんでも言うことを聞く」という条件を飲ませたため、誰も止めることができない。
- 昔食事を運ぶのを止めたカエルを食べてしまったことがある。
- 小さくなっても「食べ物がなくならない」と喜んでいたが、廃棄くんを食べた食中毒によって食事をやめることになった。
- 公爵さま
- 結婚式以来食べ続ける妻に悩んでいる。それでも、妻が一番大事らしい。
- 胃が弱いが、なかなかしぶとい。真っ白な髪、やせこけた貧相な顔のせいでやや老けて見える。
- かえる給仕
- ウェイターの格好をしたカエル。
- 公爵夫人に食べ物をほぼ不眠不休で出し続けさせられている。以前、料理を出す事を止めて仲間を食べられてしまった事がある。
- ふっくらとした女の子がお好みの様子。
- ビル
- 緑色の髪をしたトカゲ男の青年。舌が蛇の様になっている。
- 「真実の番人」と呼ばれる立場を担っており歪みの国の秘密を握っている。
- 帽子屋
- 顔は見えないが、声からして15歳くらいの男の子。
- 頭がすっぽり入る大きな帽子をかぶっている。ネムリネズミと共にお茶会をしている。
- 着ている服のサイズは自分よりもはるかに大きい。亜莉子曰く「子供が無理に大人の服を着てるみたい。」
- ネムリネズミとはなんらかの力関係があるらしい。
- ネムリネズミ
- いつも寝ているネズミ。帽子屋と共にお茶会をしている。帽子屋には「ネムリン」と呼ばれる。
- 薔薇からアリスを助けようとする勇敢な一面も見せるが、睡魔に負けてしまう。
- ウミガメモドキ
- 首狩りの女王様が住むお城のコック。アリスのことを、料理人の「メアリ・アン」だと思っている。
- アリスが始めに見た時、床に寝転がって歌を歌っていた(歌はあまり上手ではないらしい)。
- 首を切断しようとしても素早く首を甲羅にしまってしまうため女王様には嫌われている。
- 時間くん
- 時間を操ることができる生き物。女王様の城の地下室に捕まっていたが、アリスに助けられる。
- アリスには見えないが、ちょうど人間の「腸」にそっくりな姿をしているらしい。
- なぜかチェシャ猫とまともな会話ができる様だが、かなりの悲観主義者である。
- 芋虫
- 見た目は緑色の寝袋に入っている小さな小さな人。アリスに「猫に騙されるな」と忠告をしてくる。
- 登場してすぐに踏み潰されるという少しかわいそうな人。
- 選択肢によっては登場しない。
- グリフォン
- 鷹の頭と翼、ライオンの体に蛇の頭が尻尾についた生き物。
- に見えるが蛇の方が頭である。鷹の頭も意思はあるが、知能は低い。
- 蛇は温厚で、歪みの国の誰よりも優しく、誰よりも話が通じるが、誰よりもアリスを戸惑わせた。
- 選択肢によっては登場しない。
[編集] 各章
- 前編
- Capter 1 終わらない放課後
- Capter 2 狂騒のホテル ブラン・リエーヴル
- Capter 3 見慣れた街の見慣れぬひとたち
- Capter 4 真夜中のお茶会
- 後編
- Capter 5 首切りの城
- Capter 6 赤と黒の迷宮
- Capter 7 まどろみの現し世
- Capter 8 狂宴のはて
[編集] エンディング
- NORMAL END
- END1 「仲間はずれ」
- END2 「幸せのブルー」
- END3 「赤い猫」
- END4 「僕のアリス」
- END5 「無視の代償」
- END6 「フードの中」
- END7 「黒こげの天使」
- END8 「暗闇の歌」
- END9 「ヒトガタ」
- END10 「ご褒美」
- TRUE END
- END11 「猫を連れて」
- END12 「ウサギのお守り」
- END13 「真実の横顔」
- END14 「思い出の匂い」
- END15 「微笑む男」
[編集] その他
作中の音楽は(株)ブレインストームに外注している