月影千草
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月影 千草(つきかげ ちぐさ)は『ガラスの仮面』の登場人物。別名黒夫人。本名は千津(姓は不明)。
演者は、1988年舞台が南美江、ドラマ版が野際陽子、アニメ版ではエイケン版が中西妙子、OVA版が戸田恵子、トムス・エンタテインメント版が藤田淑子。
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[編集] 来歴
孤児として生まれ、物心ついたときには、盗みの片棒を担がされていた。7歳の時に、劇作家の尾崎一蓮に拾われ、月光座の下働きとなる。その後、舞台に出るようになって、演技の才能を開花させ、戦前には映画にも出演し、スターの地位を確立していた。戦争によって月光座は一時つぶれるが、千草が主演を演じた「紅天女」(原作:尾崎一蓮)の舞台がヒットしたおかげで、月光座は再建され、千草は月光座の一枚看板となる。
このころ、月光座は「紅天女」に感激した速水英介と手を組み、地方公演を大都芸能にゆだねることとなったが、やくざと手を結ぶ大都芸能を尾崎が嫌ったために、大都芸能と月光座は犬猿の仲となり、結局、月光座は大都芸能の執拗な嫌がらせによってつぶれてしまった。こうして没落した尾崎に千草は最後まで寄り添い、ついには結ばれるが、その夜、尾崎は「紅天女」の上演権を千草に譲る遺言を残して自殺してしまう。
それ以後、大都芸能を激しく憎み、政財界の大物と人脈をつくることによって大都芸能に対抗し、再びスターとしての地位を確立するが、舞台上での事故で顔に傷を負ったために、舞台にたてなくなる。その後は常に顔半分を髪の毛で隠しながら、自分の後継者になるにふさわしい少女を探し求めていた。現在、北島マヤと姫川亜弓を紅天女役の候補としている。
北島マヤの師匠であり、姫川亜弓の母親である姫川歌子の師匠的存在でもあった。
彼女の周囲の世話をする小林源造は月光座の大部屋俳優から千草の付き人になった人物で、尾崎を失った後も千草が生きてこられたのは、源造の励ましがあったからである。
[編集] 主な出演作品
美内すずえによる架空の作品と思われるものには簡単なあらすじを付した。
[編集] 舞台
- 華炎(令嬢・彩華役)
- 書生に恋する華族令嬢の物語。
- 紅天女(紅天女役)
- 争いの絶えない都を鎮めるための仏像づくりを依頼された仏師・一真と梅の木の精・阿古屋の物語。幻の名作といわれる。
- ふたりの王女(皇太后ハルドラ役)
- 北欧の小国を舞台に、何不自由なく育った王女アルディスと謀反人の娘として育てられた王女オリゲルドの葛藤の物語。月影の役どころはふたりの王女の行く末に心を痛めながら、国を憂うふたりの祖母。
[編集] 映画
すべて、作品中に名前のみ登場し、あらすじは不明。
- 星の面影
- 白百合の唄
- 海鳴り
- 心の色