映倫管理委員会
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映倫管理委員会(えいりんかんりいいんかい、略称: 映倫、英字略称: EIRIN、Administration Commission of Motion Picture Code of Ethics)は、主に映画作品内容を審査し、レイティング設定(番組規制基準)等を行う自主規制組織である。全国興行生活衛生同業組合連合会加入映画館とは、映倫通過の映画しか上映しない申し合わせになっている。
当初は業界組織のみで構成されていたが、1956年公開に若者の風俗を描いた太陽族映画が社会問題化し、批判をもとに現在の組織に改変された。
映画作品におけるレイティングは、主にアメリカにある倫理基準を参考にした独自のものである。なし(全年齢)、PG-12(12歳未満鑑賞制限)、R-15(15歳未満鑑賞禁止)、R-18(18歳未満鑑賞禁止)がある。結果に不満なら、再審査請求が出来る。
規程では質の批評は行わないことになっているのものの、基準は時代の流れに反映される。美しき諍い女(フランス映画)により、1990年代前半には性表現について、1990年代後半から2000年代にはバトル・ロワイアルをはじめとした暴力表現、スワロウテイルなどの反社会的表現についてが規制の対象になった。
ビデオゲームや家庭用ゲームやビデオやDVD作品等の審査は別団体が行うが、2006年4月より経済産業省の指導でビデ倫、ソフ倫、CESA、CERO、JAMMAと共に映像コンテンツ倫理連絡会議(仮称)において審査基準・表示の一本化を協議する事が決定している。
さらに2009年までに大改革を行うことが決定している。
なお、まれに「映画倫理委員会」と表記がされる場合があるが、2008年現在のところ誤用である。ただし、上述の「大改革」の中で、「映画倫理委員会」への名称変更(略称は従来どおり映倫)が検討されている。
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[編集] 問題点
映倫の審査体制が時代にそぐわなくなり、不透明な基準等から、業界,消費者ともに存在意義が疑問視されている。審査員の平均年齢が60歳以上、女性委員は存在しない等時代遅れの現状が度々指摘されている(近年になって、ようやく女性委員が誕生している)。基準が時代の流れに反映される上、本来なら行われないはずの質の批評が行われている事も問題視されている。
まれに暴力的シーンがある映画やNC-17指定の映画が全年齢やPG-12(処刑人、ランド・オブ・ザ・デッドなど)、R-15になっていることがある。
朝日新聞(平成19年6月12日付37面)等によると、近年の例では、ツォツィ(南アフリカ,英合作)が映画の本筋と大きく関係ない、少年の凶器による暴力シーンが問題視され、R-15になり、再審査も却下されたため、物議を醸した(結果に対しての再審査請求は出来るが、却下される事が多い)。このことから、日活は、ツォツィ審査後に、システムの透明化、人員増等を要望した。
バベルで起こった映像点滅問題において映像技法の審査がなされていないことも問題になっている。
また、日本で2007年10月6日に公開されたDeath of President(大統領暗殺)の内容についても、特定の首相を限定できるポスターに物言いが付き、宣伝部スケジュールの関係上、顔を隠したものに差し替えられた事件もあった。
2007年、モザイク規制が緩すぎるとしてビデ倫が歴史上初の強制捜査を受けた。これを受け、近年、性器にモザイク処理をしない作品(例:ソドムの市、ジャッカスなど)を多数容認している映倫も強制捜査を受けるのでは、と指摘されている。ただし2008年2月2日公開のラスト、コーションに関しては6ヶ所カットをしている。
[編集] 映倫の定めた基準
[編集] 関連事項
- 映画のレイティングシステム
- 映像コンテンツ倫理連絡会議(仮称)
- 放送倫理・番組向上機構
- 表現の自由
- メディア・リテラシー
- 日本レコード協会 の中のレコード制作基準倫理委員会(レコ倫)
- 太陽の季節
- 天下り - 映倫管理委員会は警察の天下り先である。
[編集] 外部リンク