方言札
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方言札(ほうげんふだ)とは、方言を追放して標準語を普及させる手段として、主に学校において、方言を使う者に掛けさせた札のこと。日本では沖縄県や鹿児島県に顕著な例が見られた。
[編集] 概要
絶対王政期のフランスでは、オック語、プロヴァンス語、ブルトン語などの地方言語をフランス標準語に対する方言とし、方言を話した生徒に方言札を掛けさせて、見せしめにするということが行なわれた。この制度は明治時代に日本にも取り入れられ、戦後の昭和40年代頃まで続いた。
沖縄県での方言札の実態は、2001年4月1日放送のNHK「日本のことば」の沖縄県特集でも紹介された。それによると方言札はカマボコ板くらいの木の札に紐を通したもので、学校で方言を話すと札を首に掛けなければならず、それを外すには他の生徒が方言を話すのを発見するしかなかった。
鹿児島県でも、沖縄県とそれほど大差ない方法・意識下で方言札を用いた標準語教育が行われた。これは県本土と奄美諸島との方言差が大きく両地域での意思疎通が困難であり、標準語普及が急がれたからであった。
なお、こうした国家主導による強力な標準語普及政策は、方言差の大きい国や国語統一が現在進行中の新興独立国などで現代でも行われ、特に中華人民共和国で顕著である。