新葉和歌集
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新葉和歌集(しんようわかしゅう)は南北朝時代の和歌集。准勅撰とされる。後醍醐天皇皇子宗良親王(1311-1385?)の撰。南朝の長慶天皇代、弘和元年(1381年)十二月三日奏覧。20巻、約1420首。部立の順序は春(上・下)、夏、秋(上・下)、冬、離別、羇旅、神祇、釈教、恋(五巻)、雑(三巻)、哀傷、賀歌。
序文に述べるように、元弘(1331-1334)以降、弘和までの南朝方の詠歌を集める。最多入集は先帝・後村上天皇の百首で、宗良親王の99首がそれに次ぎ(これは先帝を最多入集にするための計らいで、実際には宗良親王は「読人不知」としても多数入集)、長慶院・花山院家賢・同師賢・後醍醐天皇・洞院公泰・尊良親王・北畠親房ら、乱世にあって獅子奮迅の活躍を遂げた英傑の面々も登場する。
「吉野朝の悲歌」と称される通り、新葉集では、南朝の衰勢著しい境遇の中で、如何とも挽回しがたい天命への悲憤を込めた、切実な感情の秀歌が目立つ。平淡な二条派歌風の底に潜む悲痛極まりない感慨は、十三代集のいずれにも見られない、深遠な蘊奥をこの集に賦与している。
巻第十九・哀傷に収める新待賢門院(後村上帝の生母阿野廉子)の歌を下に記す。
「み吉野は見し世にもあらず荒れにけりあだなる花は猶のこれども」
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