惣流・アスカ・ラングレー
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惣流・アスカ・ラングレー(そうりゅう アスカ ラングレー、SORYU ASUKA LANGLEY)は、『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する架空の人物。声優は宮村優子。
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[編集] プロフィール
[編集] 人物
独3/4、日1/4のクォーターで、国籍はアメリカ。4歳の時にセカンドチルドレンに選出され、以降エリート教育を受ける。容姿端麗な美少女[2]で、14歳にして大学卒業の天才であるのだが、劇中ではその知性はほとんど表されず、性格としては幼さが目立つ。彼女の口癖である「あんたバカぁ?」は、当時としては非常に過激でセンセーショナルであり、話題になるとともに、演じた宮村優子の名台詞[3]としても定着した。その他「チャ~ンス」「サイテー」が口癖。一人称は基本的に「あたし」を使用。
母親は惣流・キョウコ・チェッペリン(後に自殺)。父親は詳しいことは不明だが、アニメ版ではキョウコの死後、女医と再婚している。漫画版では父親はおらず、精子バンクで生まれた子になっている。母親が自殺した後は、親戚に預けられていたようである。劇中に登場するまでは、ネルフドイツ支部においてエヴァのパイロットとしての特訓を受けていた。
陽気な女性キャラクターとしては葛城ミサトと双璧で、碇シンジとの夫婦漫才のような掛け合いで、番組シリーズ中盤の物語を明るくするのに大いに貢献した。しかし、その明るさは実は非常に脆いものであり、物語が終りに近づくにつれ、次第に悲惨な運命をたどっていく。
[編集] 劇中での活躍
TVシリーズ第八話「アスカ、来日」にて初登場。第6使徒ガギエルを相手に弐号機で初出撃。同じく弐号機に搭乗したシンジと共に使徒を殲滅。その後第3新東京市立第壱中学校2年A組(シンジらと同じクラス)へと転入。
第九話において、近海に現れた第7使徒イスラフェルを相手に弐号機で出撃。スマッシュホークにて使徒を一刀両断するも2体に分裂した使徒に対し敗北。その後ミサト、シンジと同居生活を開始し、そこでユニゾンの特訓を受ける。使徒の再襲来時には、初号機と共にコアへのユニゾン攻撃を成功させ、使徒殲滅。
第拾話において、浅間山火口において発見された第8使徒サンダルフォンに対し、D型装備の弐号機で単独出撃。マグマの中に沈降し一旦は捕獲を成功させるものの、孵化を始めた使徒を相手に捕獲を中断。最終的に熱膨張を利用し使徒殲滅。
第拾壱話において、NERV本部直上に現れた第9使徒マトリエルに対し、零号機・初号機との連携プレイで使徒殲滅。
第拾弐話において、衛星軌道上から落下してきた第10使徒サハクィエルに対し、零号機・初号機と共にこれを受け止める。プログレッシブナイフによって止めを刺した。
第拾八話において、第13使徒バルディエルによって乗っ取られたEVA3号機に対し、なすすべののないまま敗北。
第拾九話において、ジオフロントに侵入してきた第14使徒ゼルエルに対し弐号機で出撃。銃火器類を連射し圧倒するも、使徒にダメージを与えることはできず、弐号機の頭部・両腕部が切断され、敗北。
第弐拾弐話において、衛星軌道上に現れた第15使徒アラエルに対し、ミサトの待機命令を無視して弐号機で出撃。エヴァのパイロットとしての進退を賭けての出撃であったが、使徒が放つ詳細不明の可視光エネルギー波によって精神攻撃を受け、あえなく敗北。その後洞木ヒカリの元に身を一時よせる。
第弐拾参話において、第16使徒アルミサエルに対し、半ば強制されながら弐号機で出撃。しかし弐号機とのシンクロ率は2桁を切っており、弐号機を動かすことができなかった。その後消息不明となる。
第弐拾四話において、廃墟となったアパートのバスタブにおいて廃人同然となった姿で発見され、ネルフに保護される。
第弐拾五話では、唐突に弐号機でうずくまるアスカの映像が挿入されているが、そこに経緯は劇場版において明らかになる。
劇場版第25話においては、弐号機に母の魂が宿っていることを知ったことで弐号機との再シンクロを果たし、戦略自衛隊やEVA量産機を相手に活躍を見せる。量産機9体全てを殲滅させるものの、弐号機が活動限界に達したため、復活したEVA量産機に敗北。左目と右腕にダメージを受け、負傷(この時一度死亡したとの説がある)。その後精神世界でシンジとの対話、劇場版の最後のシーンにおいて、シンジと共に生き残った描写がなされている。
[編集] 交流
[編集] 碇シンジ
漫画版では「碇くん」と呼称される。同居を始めたシンジとは、生活を通じて彼を馬鹿にした態度をとりつつ、気になる異性とする言動も多い。「バカシンジ」の呼びかけも愚弄と同時に、親愛のニュアンスが含まれるようになる。
が、彼のシンクロ率がアスカを超えた事を契機に、アスカはシンジへ愛憎入り交じった執着を見せ始める。
劇場版「Air」で昏睡状態のアスカが、シンジのおかずにされた他、ビデオ版で示唆された両者の感情は温度差が激しく、その事実が後の凄惨なやりとりに繋がる。
[編集] 葛城ミサト
NERV日本支部に所属する女性士官であり同居人かつ保護者。日本に来る前、ドイツにおけるアスカの上司であった。加持と男女関係があるが未婚。赤ジャケットを着用して行動する事が多い。日常生活も任務の一環とする傾向があり、アスカの保護者という役割を演じ切ろうとする面もある。劇場版に於いて殉職した。
[編集] 加持リョウジ
アスカが強い憧れを抱いていた人物。加持リョウジは、来日前にアスカに恋心を告白される(漫画は来日後)が、加持はアスカの思いが愛ではないと漫画版で彼女に諭す。
心理的に弱ったアスカにとっての支えが加持だったが、ビデオ版でシンジから加持の死亡を聞かされ、アスカの心は崩壊(エヴァンゲリオンクロニクルでは愛憎を向けるシンジから気遣いなく告げられたのが要因ではと示唆)する。
[編集] 綾波レイ
同じEVAパイロットの綾波に対しては、「優等生」「人形」等と呼び敵視する。下記にあるレイへの近親憎悪の他、人形の様な無機質さが母に関するトラウマを呼び起こすのも原因である。
EVA搭乗に自分の存在意義を見出すという意味で、アスカにとってレイは同類、又は近親憎悪の対象である。
レイとシンジの関係を気にしていたらしく、拾弐話などでは二人の関係を問う様なシーンがある。ビデオ版弐拾弐話では、駅ホームで談笑する二人を見た際も、嫉妬していた。
[編集] 碇ゲンドウ
3人のEVAパイロットの中では、ゲンドウに見下され、冷遇されていた様である(ゲンドウに関係の深いシンジ&レイと比較した場合)。
アスカの活躍時は、ゲンドウ不在時が多い。劇中でゲンドウと直接会話するシーンはなく(漫画版では会話する)、対アラエル戦でゲンドウがアスカを救援した理由も、彼女の身を案ずる為ではなく「弐号機を失うのは得策でない」という事から。
[編集] その他
洞木ヒカリとは非常に親しい仲となり、物語中盤ではお互いの恋愛相談をしていた。弐拾参話において使徒に敗れた際、アスカはヒカリの家に身を寄せた。
クラスメートである鈴原トウジや相田ケンスケとは非常に仲が悪く、シンジと合わせて3バカと呼んでいた。
渚カヲルとはアニメ版で直接の交流はないが、漫画版では弐号機パイロットの座を争うライバルとして敵視していた。
[編集] 性格
異常とも言える程プライドが高く、勝気で負けず嫌いな性格。また劇場版のシンジに対する「あんたが全部あたしのモノに」という発言からもかなり独占欲が強く嫉妬深い。
EVAシンクロ用のヘッドセットを髪留め代わりに常に装着するほどチルドレンであることに拘っていた。しかしシンジにシンクロ率が追い抜かれてしまったことが引き金となり、次第に自信を失っていく。さらに使徒に敗北することで彼女のプライドはズタズタにされ、シンクロ率がマイナス状態になり、遂にEVAは起動しなくなった。第15使徒アラエルとの戦いで深い精神的ダメージを負ってしまった際、司令の碇ゲンドウが自分の価値をレイより軽視していると気付き、自信喪失は決定的になり廃人同然となる。
母親への思いが強く、EVA接触実験の失敗による後遺症で人形をアスカであると思い込み、自分を全く見てくれなくなった母親を振り向かせようと、様々な努力を重ねる。しかし、母が自殺してしまったことがトラウマになっており、「泣かない」「誰にも負けられない」という脆さと紙一重の強さを持った性格を決定づけた原因にもなっていた。
また、稀に卑猥な発言(漫画版で精子を連呼したりアニメで自分の胸についてシンジに問いかけるなど)を平気でしでかすことがある。
[編集] その他
- 理由は不明だが、弐拾弐話の冒頭1カットのみ岩男潤子が声をあてている。
- 弐拾弐話でアスカが踏みつけた猿のぬいぐるみは、アスカ役の宮村優子が当時書いていたイラストを基にしている。当時の宮村によると、弐拾弐話の収録前に庵野秀明から「ぬいぐるみは何が好き?」と聞かれ「お猿」と答えたら「今度それを踏み潰すから」と言われ、一瞬頭が真っ白になったという[4]。
- バンド「Speena」の楽曲『ジレンマ』には、劇場版でアスカがシンジに発した「あんたが全部アタシのものにならないなら、アタシ、何にもいらない」の台詞を核にした歌詞が登場する。
[編集] 名前の由来
名前の由来は、大日本帝国海軍航空母艦「蒼龍(そうりゅう)」とアメリカ合衆国海軍航空母艦ラングレイ(CV-1)、ラングレー(CVL-27)(ただし、前者は沈没時は水上機母艦)、および、和田慎二の漫画『超少女明日香』の主人公・砂姫明日香から。
[編集] ツンデレか否かについて
一般的にツンデレなヒロインの代名詞であるように言われるが、これには様々な異論がある。考えられる理由としては、劇中でシンジに対して明確にデレるシーンが無く、加持に対して人目憚らずデレるから。ただし、シンジへの内心に抱いている愛情レベルまで達した恋愛的好意自体は確定と言えること(ツンデレではないという主張の大半がこれを把握していないものである)、シンジへの好意的態度も読み取れないというレベルではないこと等から、ツンデレとの指摘に理由は認められる。その為か、上記のゲームやそれに関連する書籍などでは、微妙にシンジやその周りの人間に対する態度が修正され、典型的なツンデレらしい性格になっている。これに対し、宮村優子はアスカについて「今で言うところのツンデレ。異性として気になるのはシンジだけど、なかなかそれを表に出すことが出来ない。[5]」とコメントしている。その一方、劇中後半の精神崩壊の過程やEVA量産型との戦闘における鬼気迫る表情、追加されたシーンも含め終盤から描かれた昼メロドラマを思わせるシンジへの病的な執着心などから、「(ツンデレというより)ヤンデレでは」との指摘もある。ヤンデレ大全では彼女を前半はツンデレ、後半はヤンデレと時系列に分けて解説されており、これに従えばヤンデレキャラがツンデレを含むのは稀であり、珍しいタイプであると言える。
[編集] ゲーム版
- 『スーパーロボット大戦シリーズ』では原作同様の展開でエヴァに乗る。後半まで他パイロットを見下していたがEVA量産型との死闘の果てに彼らから助けられ態度が変わっていく。
- 『第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ』では、前編『スーパーロボット大戦α』から成長し、アスカは勝気ながら無意味に相手を見下さなくなった。ただ綾波レイとはソリが合わず、終始レイをファースト等で呼び通し、好意を持たない様子。『第3次α』のみ仲間達から「あの3人が…」と驚かれる連携攻撃をシンジ・レイと共に披露した。ちなみに『α』ED~『第3次α』までの約2年間を軍の監視下でシンジと過ごしたと語っている。その間、特に進展は無かった模様。
[編集] 脚注
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漫画 | 貞本版 - 鋼鉄のガールフレンド2nd - 碇シンジ育成計画 - 学園堕天録 |
劇場版 | DEATH & REBIRTH (シト新生) - Air/まごころを、君に |
新劇場版 | 序 - 破 - 急 - ? |
主題歌 | 残酷な天使のテーゼ - FLY ME TO THE MOON - 魂のルフラン - 心よ原始に戻れ - THANATOS - Komm, süsser Tod - Beautiful World |
登場人物 | 碇シンジ - 綾波レイ - 惣流・アスカ・ラングレー - 葛城ミサト |
用語 | EVA - 使徒 - セカンドインパクト - 第3新東京市 - 第2新東京市 |
ゲーム作品 | TRPG - セガサターン第1作 - 2nd Impression - デジタルカードライブラリ - 鋼鉄のガールフレンド - エヴァと愉快な仲間たち - NINTENDO64版 - シト育成 - 綾波育成計画withアスカ補完計画 - 鋼鉄のガールフレンド2nd - 新世紀エヴァンゲリオン2(PSP版) - 碇シンジ育成計画 - シークレット - 名探偵 - バトルオーケストラ - ぷちえう゛ぁ (ゲーム版) |
音楽作品 | 音楽集I - 音楽集II - 音楽集III - ADDITION - DEATH - THE END OF EVANGELION - S2 WORKS - Refrain of Evangelion - DECADE - Shiro SAGISU from EVA:1.0 - ヱヴァ序サントラ |
その他のメディア | CHRONICLE - 使徒XX - ぷちえう゛ぁ - エヴァンゲリオン ANIMA |
主要スタッフ | 庵野秀明 - 貞本義行 - 鷺巣詩郎 - ガイナックス - カラー |