強制通用力
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強制通用力(きょうせいつうようりょく)とは、貨幣について、決済の最終手段として効力を有することをいう。法律により強制通用力が付与された貨幣を法貨という。
[編集] 日本での状況
現在有効な日本銀行券(紙幣・お札)および補助貨幣(硬貨・コイン)は法貨であり、強制通用力がある。ただし補助貨幣の強制通用力には制限がある(後述)。支払いの際にこれらを使用することで決済は完了し、受取人は受け取りを拒否することができないとされる。もっとも、例えばスーパー・コンビニ・個人商店等の対面販売において、客に商品を売るか売らないかは店の自由裁量なので理由の如何を問わず店は「あなたには売らない」ということができる。この場合売買契約そのものが成立していないのだから、店は貨幣を受け取る必要はなく、商品を提供する必要もない。
なおかつての本位貨幣(金本位制の元では金貨)には無制限の強制通用力があった。このような本位貨幣のことを「無制限法貨」と呼ぶ。また「硬貨」という言葉は本来はこの無制限法貨であるところの本位貨幣を表すことばであった。これは経済学でハードカレンシー(国際決済通貨)の訳語である硬貨と同義であるために使われた言葉である。国際決済を考えた場合、信頼性の低い通貨(ソフトカレンシー:軟貨)の場合、紙幣では決済が出来ないが、本位貨幣である金貨や銀貨であれば、国際間の決済にも無制限の通用力を持っていたことに由来する。
[編集] 補助貨幣の強制通用力 (日本)
硬貨の場合通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条により、額面の20倍まで強制通用力を持つ。すなわち一回の決済につき同一額面の貨幣が21枚以上ある場合、強制通用力はなく、相手は受け取りを拒否することができる。例えば、十円硬貨15枚と百円硬貨15枚の計30枚は同一額面では20枚を超えていないので1,650円として強制通用力があるが、一方五十円硬貨33枚(1,650円分)には強制通用力がなく受け取りを拒否することができる。
[編集] 関係法令
日本銀行法
第5章 日本銀行券
(日本銀行券の発行)
第46条 1.日本銀行は、銀行券を発行する。
2.前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律
(法貨としての通用限度)
第7条 貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する。