幕の内弁当
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幕の内弁当(まくのうちべんとう)とは、白飯と数種類の副食(おかず)からなる弁当。ただし、この言葉は数百年の歴史を持っているため、細かな定義や特徴については諸説ある。
[編集] 歴史
弁当そのものの歴史は古く、外出時の食事として持参するものと定義するならば、その起源はわからない。なお記録としては、日本では遅くとも5世紀頃にはそういった習慣があったとされている。白飯と副食という組み合わせの弁当についても、その起源は不明である。
白飯と副食という組み合わせの、単なるおにぎりなどと比べると手のこんだ弁当が「幕の内弁当」と呼ばれるようになったのは、江戸時代中期とされている。
この頃、料亭などの原型が成立し弁当を製造販売するようになった。それらは芝居などの観客にも向けられ、芝居茶屋などと呼ばれる観客を接待する店舗にも提供された。それらの弁当は、芝居の幕間(まくあい)・幕の内に観客が食べるものなので、いつしか「幕の内弁当」と呼ばれるようになったとされる。これ以外にも、「幕の内側で役者が食べるから」「相撲取りの小結が幕の内力士であることから"小さなおむすび"の入っている弁当を幕の内弁当と呼ぶようになった」などの説も存在する。平行して相撲の観客に対しても相撲茶屋が同様の弁当を供し、そこから幕内力士のように相撲の世界にも幕の内という言葉が持ち込まれたという説もあるが、こちらにも異論がある。容器は、現在のものに類似した使い捨てのできる経木の折詰もあったが、重箱などで供されることが多かった。
明治以降になってからは、幕の内弁当は駅弁の様式のひとつとして広まった。この駅弁としての弁当は、容器の回収ができないことから、使い捨ての経木の折詰に盛るという方法が一気に広まったとされる。ただし、幕の内弁当が弁当の典型的・代表的な存在であったことから、必ずしもフルネームの「幕の内弁当」で呼ばれるとは限らず、単に「弁当」「御弁当」などと呼ばれることも多かった。駅弁は、20世紀末期から地方色が強いもの、特定の食材を重視したものなどへの傾斜を深めたが、幕の内も依然根強い人気がある。コンビニエンスストアなどでも弁当が売られるようになり、その中で幕の内弁当は一定の勢力を維持している。幕の内弁当は、地味ではあるが弁当界の本流として、現在も生き続けている。
[編集] おおまかな定義
ご飯は、一般に白飯である。炊き込みご飯・まぜご飯などを使ったものを幕の内弁当に分類するかどうかについては説が分かれる。ご飯は、俵型のおにぎりが並べて詰められ胡麻(主に黒胡麻)を散らしたものが本来の幕の内とされる。これは握り飯の名残であるといわれている。ただし現在では、実際に個別のおにぎりが詰められている場合は少なく、型押しをして俵型に見せていることが多く、白飯の上に黒胡麻や海苔や佃煮などを散らしたものもある。
おかずは、汁気のないものを少しずついろいろ詰め合わせるのが一般的である。特に焼き魚・玉子焼き・蒲鉾(この3つを総称して幕の内弁当三種の神器とも)揚げ物・漬物・煮物は大半の幕の内弁当に入れられており、幕の内弁当の代表的なおかずであるといえる。またハンバーグやオムレツ、ソーセージなどを織り込んだものは洋風幕の内と呼称されることが多い。特徴のある地方色の強い料理や豪華な料理をおかずとして盛る場合には、その特徴のある料理の名などを冠して「○○弁当」などと呼ばれることが多いが、それらの中にも実態としては幕の内弁当に分類できるものが珍しくない。