市川團蔵 (5代目)

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5代目市川團蔵（いちかわだんぞう、天明8年（1788年）9月 - 弘化2年6月6日（1845年 7月10日））は、江戸の歌舞伎役者。屋号三河屋、俳名は千升、紅山、市紅。渋い演技力から「渋団」、「渋団蔵」と言われた。

最初市川鰕十郎の門人で森之助を名乗ったという、後に目黒の団蔵と言われた4代目市川團蔵の養子となり、團次郎と改名。1795年10月には既に4代目團三郎と改名、1815年正月市川市紅と改名。1819年4月に大坂にて5代目市川團蔵を襲名。1833年頃江戸にて三座に転勤、上坂の名残狂言「忠臣蔵」の七役を演じる。由良之助・鬼一・法界坊などが当り役。

時代物に適した立役や敵役、女形を兼ねた。華美な演出が主流となった歌舞伎の風潮に流されることなく堅実な芸風を保持し、後ろ向きで台詞を言っても観客をうならすほどの名人であった。

4代目市川小團次と初めて共演した時、團蔵は小團次のあざとい演技を毛嫌いし、だんまりの場面ででわざと動かないなどの嫌がらせをしたが、小團次の立ち回りを見ていてそのうまさに感心し、こいつはきっと名優になると予言した。

葬儀も地味で見送りの人が自宅に訪れると家の中はもぬけの殻で「我死なば香典うけなさしにない　坊主頼まずすぐに極楽」の狂歌の張り紙だけだったので「五代目は花より実という芸風なので、見物から渋團といわれたが、死んでまで渋いな。」と言われた。（八代目市川團蔵『七世市川團蔵』より）

芸熱心で、自分の舞台を見た妻から「長刀の使い方がよくない。」と指摘される。團蔵は、妻に舞台の演技を見せてはならないという当時のタブーを破ったことをとがめず、逆に妻より長刀の正しい使い方を教えてもらったという。落語の古典落語の演目「淀五郎」はこの團蔵が演じた忠臣蔵を元に創作された演目。子が6代目市川團蔵。