学年制と単位制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学年制(がくねんせい)とは、各学年での教育課程の修了を繰り返すことによって学習していく方式のことであり、単位制(たんいせい)とは、授業科目を単位と呼ばれる学習時間数に区分して修得していく方式のことである。
一般的に、単位制は、授業科目ごとに取得できる単位数が決まっており、卒業時に必要単位数がそろっているかどうかで卒業を判定することが多い。授業科目の学習成果を単位として修得していく方式は、後期中等教育(高等学校の課程など)以降で行われている。学年制の高等学校では単位を落とすと原級留置となる。まれに、取得すべき単位を取っていなくても卒業できるケース[1]もある。
多くの高等学校では、単位制と学年制を併用しており、一方、多くの大学では、単位制のみを用いていることが多い。近年、高等学校や中等教育学校の後期課程でも学年制を用いず単位制のみを用いる教育が増加しており、このような教育は、特に「単位制による教育」と呼ばれる。(なお、すべての高等学校と中等教育学校の後期課程は、単位制を用いており、「単位制高等学校」の呼称は、学年制を用いず単位制のみを用いているという意味である。また、単位制による教育は、学年ごとの教育課程の区分を設けずに行われるが、学年を設けないという意味ではない。)
[編集] 1単位に必要な学習時間
- 大学、短期大学、大学院
- 1単位あたり45時間の学修を必要とする内容とするのが標準である。これには、予習、復習、課題などの時間を含み、授業時間については、講義及び演習については、15時間から30時間までの間、実験、実習及び実技については、30時間から45時間までの間とされている。
- なお、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、大学などが定める時間の授業をもって1単位とすることができ、卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、必要な学修を考慮して単位を定めることができる。
- 高等教育の1単位は、高等学校の単位に換算すると、約1.54単位である。
-
- その根拠
-
- 1単位の時間数は、1週間分の労働時間に由来するとされる。すなわち、月曜日~金曜日は8時間×5日間=40時間、土曜日は半ドンで5時間、合わせて45時間となる。
-
- 大学では一般的に、講義及び演習においては、90分/コマ(1.5時間)×15週=22.5時間の授業を学修した者に対して2単位を与える。1単位の実授業時間は11.25時間となる。前述のとおり「授業時間については、講義及び演習については、15時間から30時間までの間」とされているにもかかわらず11.25実時間でも問題とならない理由は、15単位時間という解釈が許されているためだと推測される。
-
- 高度に専門的な教育研究を目的とする大学の講義を学修するには、15実時間(もしくは11.25実時間)の講義に対して30実時間(もしくは33.75実時間)の予習・復習・課題などの自主学習が必要である。
-
- 実験・実習及び実技については、学内の実習設備を用いない自主学習は困難であるため、授業時間が「30時間から45時間までの間」と規定されている。
- 高等学校、中等教育学校の後期課程
- 専修学校
- 高等課程では高等学校に準じ、専門課程では大学に準じている。
- 高等専門学校
- 高等学校の単位計算に準じた授業科目と、大学の単位計算に準じた授業科目が混在していて煩雑である。大学の単位計算に準じた授業科目は5年間で60単位まで取得することができる。2年制の専攻科(学士課程)については大学の単位計算に準じている。
[編集] 卒業・修了に必要な単位数
- 大学 - 最低124単位以上で各大学が定める単位数
- 短期大学 - 最低62単位以上で各短期大学が定める単位数
- 大学院 - 最低30単位以上で各大学院が定める単位数
- 高等学校 - 最低74単位以上で各高等学校が定める単位数
- 高等専門学校 - 最低167単位以上で各高等専門学校が定める単位数