妖星乱舞
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妖星乱舞(ようせいらんぶ)は、RPG『ファイナルファンタジーVI』(FFVI)の最終ボスキャラクターである「神々の像」および「ケフカ」戦の楽曲である。英語版の表記は「Dancing mad」で、これを直訳すると「狂気乱舞」になる。作曲は植松伸夫で、彼の楽曲の中でも人気の高い曲の一つである。妖星乱舞は交響曲の体をとっているため第一楽章から第四楽章まであり、全楽章総合で10分以上もあるため、ゲームミュージックにしてはかなり長い部類に入る。
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[編集] ファイナルファンタジーVIにおける妖星乱舞
本作品は上記で少し触れたが、ラスボスであるケフカ・パラッツォとの戦闘時における楽曲であり、第一段階から第四段階それぞれ(三闘神の象徴である神々の像と最終形態のケフカ)にあわせて作曲されている。
ちなみにスーパーファミコン (SFC) 版・プレイステーション (PS) 版のときはボスの段階が変わっても、曲に区切りが付くまで次の曲に進まないように処理がなされていたが、ゲームボーイアドバンス (GBA) 版では段階が変わるごとに曲がブツ切れになってしまい、ファンの間で否定的な意見が多く見られる。また、GBA版で音質が下がったことに対する不満もでている。
[編集] 楽曲としての妖星乱舞
本家のファイナルファンタジーシリーズ(主にFF10まで)のメインコンポーザーである植松氏はその時々によって作風が異なり、当作品では曲の多くが管弦楽をメインとしている。その中でも特にこの曲はパイプオルガンが多く用いられている。
まずは第一楽章であるが、同ゲーム内の曲「予兆」や「大破壊」に登場する旋律が前半の大部分を占め、後半からテンポが上がり激しい曲調へと変化していく。第二楽章の前半ではコーラスを主体とする二つのテーマが単調に繰り返され、非常に不気味な雰囲気をかもし出している。後半部分はパイプオルガンのソロパートとなり、第三楽章へと発展していく形になる。第三楽章はチューブラーベルの音が始めにあるのみで、あとは全てパイプオルガンの曲である。戦闘曲には似つかわしくなく、最初は長調から曲が始まる。曲自体は非常に芸術性の高い曲になっている。その妖しくも美しい曲調からは、特に第三楽章が好きなファンも多いようである。ちなみに第二楽章の後半と第三楽章を教会音楽のようであると表記しているサイトを多々見かけるが、実際の教会音楽はこれらに比べ厳粛な曲調であり、事実これらの楽章に宗教的な要素はあまり見られない。次いで第四楽章は一転してこれまでとは全く異なり、ゲーム中にもあまり見られないドラムやベースといったロック的な要素が盛り込まれている。前半はかなりテンポが速いが、後半は相反するメロディへと変化する(後述)。主旋律はおそらくポップオルガンだと思われる(シンセサイザーであるため、楽器の種類が判りにくい部分がある)。前半は同ゲーム内の曲、「魔導師ケフカ」に登場する二つのテーマの変奏であり(第三楽章にもこのテーマがみられる)、非常に技巧が凝らされている。また、後半部分のパイプオルガンによる悲哀に満ち溢れたメロディは、ケフカの哀れな終末を余すことなく表現している。
この妖星乱舞は海外での評価も大変高く、ドイツのライプツィヒでも演奏された。また、作曲者である植松氏のロックバンド『THE BLACK MAGES』のCDにも収録されている。