大統一理論
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大統一理論(だいとういつりろん; Grand Unification Theory; GUT)とは、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用を統一しようとする試みである。電磁相互作用と弱い相互作用は電弱統一理論としてシェルドン・グラショウ、スティーヴン・ワインバーグ、アブドゥス・サラムにより完成されている。大統一理論の最小モデルであるSU(5)モデルは陽子崩壊の観測により排除されている。GUTは、Grand Unified Theory あるいは Grand Unification Theory の略である。
この理論からいくつかのことが予言されている。先に述べた陽子崩壊現象の他、磁気単極子や宇宙ひもの存在がこれにあたる。
SU(5)モデルによる陽子の寿命は1030~1032年であるが、神岡鉱山のカミオカンデ・スーパーカミオカンデにおける実験結果では陽子崩壊が観測されず、実際の寿命はそれ以上、少なくとも1034年はあり、大きくくい違っている。しかし、大統一理論に超対称性と呼ばれる要素を加えた超対称大統一理論では陽子の寿命はさらに延びることになり、実験結果を説明できる可能性がある。
SU(5)モデルでは右巻きニュートリノの存在は必然ではないが、SO(10)モデルでは、右巻きニュートリノが必然的に含まれる。力の統一が起きるエネルギースケール程度のマヨラナ質量を右巻きニュートリノが持てば、シーソー機構により、ニュートリノが他の粒子に比べてゼロでないが極端に小さい質量を持つ事が説明できる。