大紋
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鎌倉時代になり、武士が実権を掌握すると共に、武士の平服だった直垂は材料が絹に代わり、日常着用に適さなくなってきた。そのため直垂と同型で麻製の大紋が考え出された。生地に各武士の家の家紋を大きく入れたのが名前の由来である。また、上半身、下半身の着物を同じ生地から調製することからかみしもとも呼ばれていた。
江戸時代になると江戸幕府により「五位以上の武家の礼装」と定められた。当時、一般の大名当主は五位に任ぜられる慣例となっていたから、つまり大紋は大名の礼服となったのである。このころの大紋は上下同じ生地から調製されるが、袴は引きずるほど長くなり、大きめの家紋を背中と両胸、袖の後ろ側、袴の尻の部分、小さめの家紋を袴の前側に2カ所、合計10カ所に染め抜いた点が直垂や素襖との大きな違いである。
現在では歌舞伎や時代劇の「勧進帳」で富樫泰家が、「忠臣蔵」’松の廊下’のシーンで浅野長矩が着用している姿を見ることが出来る。このように今では舞台衣装としてのみ存在している着物である。
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