大石ダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
大石ダム（おおいし－）は新潟県岩船郡関川村大字大石地先、荒川水系大石川に建設されたダムである。
目次 |
[編集] 沿革
荒川は新潟県下越地方を流れる水量の豊富な河川であるが、古来より氾濫を繰り返した。特に1966年（昭和41年）と1967年（昭和42年）に連続してこの地域を襲った集中豪雨は「羽越水害」と別称され、荒川流域は荒川・大石川の堤防決壊で多くの死者・行方不明者と農地への甚大な被害を出し、更に赤芝ダム・岩船ダムといった水力発電施設にも被害を与え、流域に未曾有の壊滅的被害を齎した。
この当時荒川は二級水系として新潟県が管理する河川であったがこの羽越水害を機に建設省（現・国土交通省北陸地方整備局）は1968年（昭和43年）4月に荒川水系を一級水系に指定して、建設省直轄管理河川として災害復旧工事を推し進めた。同時に洪水調節の観点から計画高水流量（洪水時における最大限の河川流量）の改訂も必要となり、同年に「荒川水系工事実施基本計画」が策定され、羽越水害時の洪水流量を基本として洪水対策を図った。この中でダムによる洪水調節の必要性が生まれた。
荒川本川には既に岩船ダム・赤芝ダムが建設されており、計画された洪水調節を行うだけのダム適地が無かった為、予備調査等の結果支流の大石川が着目され、関川村大石地点に特定多目的ダムを建設する事で洪水調節を図ろうとした。ダムは1972年（昭和47年）より建設工事に着手し、8年の歳月を掛け1980年（昭和55年）に完成した。型式は重力式コンクリートダム、高さは87.0mと荒川水系最大規模のダムである。洪水調節の他、荒川流域の電源開発を行っている荒川水力電気株式会社による水力発電が目的であり、認可出力は10,900kWである。
[編集] 地域の憩いの場
ダムは完成以後地域の治水に大きく貢献しているが、「地域に開かれたダム」としての役割も果たしている。ダム及びダム湖周辺は公園として整備されており、キャンプ場や釣り場等が設置され、休日には多くの市民の憩いの場として親しまれている。又、毎年8月28日に行われる「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」の神輿がダム傍のトンネルに安置されている。この神輿のモチーフである「大したもん蛇」は関川村の古くからの伝説に因んでいると言われ、祭りの時期になるとトンネルから出されて町内を練り歩く。尚この神輿は全長が82.8mと大石ダムの堤高にほぼ匹敵するものであり、世界最大の神輿と言われている。この「大したもん蛇」は、関川村に夏の終わりを告げる風物詩ともなっている。この他ダムでは湖に流れ着く流木を利用し、チップ化してカブトムシの繁殖も行っている。
[編集] 荒川水系の新たな総合開発～横川ダム～
荒川水系の河川総合開発は大石ダム完成後も引き続き続けられ、現在国土交通省北陸地方整備局によって山形県西置賜郡小国町の荒川支流・横川に横川ダムの建設が進められている。ダムは高さ72.5mの重力式コンクリートダムで、現在2007年（平成19年）の完成を目標に本体工事が終盤を迎えている。完成すると大石ダムと同規模の特定多目的ダムとなるが、洪水調節・発電の他不特定利水・工業用水を目的としている（詳細は横川ダムを参照）。
