土屋隆夫
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土屋 隆夫(つちや たかお、1917年1月25日 - )は、日本の小説家・推理作家。
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[編集] 人物
大学を卒業後、化粧品会社(ミツワ石鹸)、映画配給会社宣伝部に勤務した。第二次大戦後、郷里の長野県に戻り、小劇場の支配人を勤めたのち、立科町立中学校の教員となる。
推理小説を執筆する以前には、演劇に傾倒した。真山青果の戯曲を暗誦するまで読み込み、自身も戯曲を執筆した。松竹歌舞伎研究会が主催した新歌舞伎脚本の募集に応募し二席入選を果たしている。ただし、この作品は実際の上演には至らなかった。
江戸川乱歩の評論「一人の芭蕉の問題」を読んだことがきっかけで推理小説の執筆を志した。
文学への関心が高く、デビュー以来論理的な謎解きと文学性の融合を目指した作品を書き続けている。また、「芥川龍之介の推理」や「泥の文学碑」、「川端康成の遺書」など、実在する文学者・文学作品を題材にした作品もある。
複数の作品に登場する探偵(すなわち「名探偵)として、東京地検の検事・千草泰輔がおり、「千草検事シリーズ」となっている。千草の周囲を固める登場人物として、警視庁捜査一課の刑事・野本利三郎、同じく捜査一課の大川警部、千草付きの検察事務官・山岸がいる。
創元推理文庫で『土屋隆夫推理小説集成』全8巻が刊行された。
[編集] 経歴
- 1949年、短編「『罪深き死』の構図」が雑誌『宝石』の100万円懸賞コンクールのC賞(短編部門)の1等になる。
- 1959年、『天国は遠すぎる』が第41回直木賞候補作になる(受賞作は渡辺喜恵子『馬淵川』と平岩弓枝「鏨師」)。
- 1963年、『影の告発』が第16回日本推理作家協会賞を受賞。
- 2002年、第5回日本ミステリー文学大賞を受賞。
[編集] 作品
[編集] 長編
- 『天狗の面』(1958年)
- 『天国は遠すぎる』(1959年)
- 『危険な童話』(1961年)
- 『影の告発』(1963年)
- 『赤の組曲』(1966年)
- 『針の誘い』(1970年)
- 『妻に捧げる犯罪』(1972年)
- 『盲目の鴉』(1980年)
- 『不安な産声』(1989年)
- 『華やかな喪服』(1996年)
- 『ミレイの囚人』(1999年)
- 『聖悪女』(2002年)
- 『物狂い』(2004年)
[編集] 短編
- 「『罪深き死』の構図」
- 「芥川龍之介の推理」
- 「泥の文学碑」
- 「深夜の法廷」
[編集] 評論
- 『推理小説作法』、光文社、1992年4月(のち、創元ライブラリに収録、1996年7月刊。ISBN 4-488-07007-8)
[編集] 参考文献
- 権田萬治「殺人者へのレクイエム-土屋隆夫再論」、土屋隆夫『赤の組曲 / 針の誘い』(『土屋隆夫推理小説集成』3・『創元推理文庫』)、東京創元社、2001年6月。ISBN 4-488-42803-7