国民総所得
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国民総所得(こくみんそうしょとく、Gross National Income)とは、略してGNIと呼び、1990年代半ば以前に経済活動の指標として使われていた国民総生産 (GNP, Gross National Product)と基本的には同一のものである。日本の国民経済計算(国民所得統計)では、2000年に大幅な体系の変更が行われた際に統計の項目として新たに設けられた。 現在経済指標として多く使われている国内総生産 (GDP, Gross Domestic Product) に「海外からの所得の純受取」を加えたものである。
GNIはGDPに、国外から働きに来ている就業者への賃金(国内から海外への支払)や国外への貸出に対する支払い(国外からの国内への支払)が反映されている。
国民総生産と国民総所得は、名目では一致するが、実質では若干の差がある。これは実質国民総所得では、実質国民総生産では考慮されていない、輸出入価格の変化によって生じる実質的な所得の増加分を「交易利得」として加えているためである。
日本の一人当たりのGNIは、2006年度は19位となっている。 http://siteresources.worldbank.org/DATASTATISTICS/Resources/GNIPC.pdf
[編集] GNIが注目される背景
日本は2005年に総人口が減少をはじめているなど高齢化や人口減少が今後も進むことが見込まれる。このため、今後は労働力人口の減少から国内総生産をベースとした高い経済成長は難しい。こうした中でも対外資産から得られる利子や配当などの所得が増えることによって、国民総所得をベースとした経済成長が持続する。国民総生産 (GNP) に代わって国内総生産 (GDP) が経済政策の目標となってきたが、2006年に経済産業省の産業構造審議会新成長政策部会がとりまとめた新経済成長戦略などで、国民総所得 (GNI) を重視すべきであるという提言が行われるようになっている。