可燃物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
可燃物(かねんぶつ、combustible matter)とは、通常環境において着火した場合に燃焼が継続する物体の呼称である。純物質に対しては可燃性物質(かねんせいぶっしつ、flammable material)とも呼ぶ。また物体が継続的に燃焼する性質を可燃性(かねんせい、flammability)と呼ぶ。
燃焼現象はある一定温度以上に保たれないと継続しないため、放射、対流、伝導により散逸する熱よりも発生する燃焼熱が上回る必要がある。また、通常は燃焼に必要な酸素は大気中から供給される為、可燃物の表面、形状、周囲の状況にも大きく左右される。すなわち、切り屑状の金属は表面が広い為容易に燃焼する。つまりスチール・ウールはライターなどで着火が可能であるが、鉄塊は火を近づけることで燃焼させることはできない。
また、燃焼を目的とする可燃物は燃料と呼ばれるが、燃料は可燃性だけでは位置付けられず、経済性や可搬性などがより大きな意味を持つ。
[編集] 温度
可燃性の度合いを識別する温度の指標として発火点と引火点とがある。
- 発火点
- 炎の存在なしに、大気中に置かれた物体が継続的に燃焼し始める最低温度。
- 引火点
- 炎が存在した場合に、大気中に置かれた物体に着火する最低温度(結果として燃焼が継続しなくとも良い)。厳密には、液体の可燃物が液面から爆発限界の最低値の濃度の蒸気を発生させるのに足りる最低の温度が引火点である。
一般に、引火点は発火点よりも低い事が多く、可燃物の場合は発生する燃焼熱が大きいため、着火することで温度が発火点を超え燃焼が継続することがほとんどである。
[編集] 法令
日本国においては幾つかの法令で可燃物の取り扱いが定められている。 物質の状態が気体若しくは液化ガス(液化した気体)の場合は、高圧ガス保安法の適用を受ける。 固体若しくは液体の場合は、消防法の適用を受ける。 可燃性物質は、燃えやすいもののイメージがあるが、古紙などは可燃性といえるのであるが消防法の適用を受けない、各市区町村の条例により、指定可燃物の適用を受ける。
法令上の可燃性物質の定義は次を参照されたい。
- 可燃性ガスの定義は、一般高圧ガス保安規則第2条に指定されている。
- 危険物の可燃性物質は消防法別表1に指定されている。
- 指定可燃物については、各市区町村の条例を参照されたい。