受信ブースター
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受信ブースター(じゅしんブースター)とは、アンテナで受信した電波を増幅する装置。ブースター、プリアンプともいう。テレビ用受信ブースターはアンテナとテレビ受像器との間に挿入して使用される。
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[編集] テレビ受信用
テレビ放送の受信において、送信所から遠い等の理由で電波が弱い場合や、1本のアンテナから複数のテレビへ配線する場合などに使用される。
元々電波の強い地元放送局がある環境下で、受信ブースターを使って電波の弱い放送局を受信する場合は、非線形歪みや感度抑圧によりテレビの映りを悪くしてしまうことがある。そのため、受信ブースターを使用するにはトラップで電波の強い地元放送局の電波を遮断したり、指向性の鋭いアンテナ(UHF波の場合はパラスタックアンテナなど)に付け替える、などの工夫が必要となる場合がある。利得調整ボリュームで利得を落とすことで調整できる場合もあるが、弱い電波を増幅すると言う本来の目的を最大限達成できなくなる可能性がある。利得を調整する場合は、妥協点を考えながらの調整となる。
受信ブースターを動作させるための電力を供給する必要があり、増幅器部分と電源供給部分が分離するものと一体のものがある。一般的に地上波放送用では、コンセントから増幅器に電源を供給する。増幅部・電源部分離型では電源部にコンセントからの電源を接続し、電源部からアンテナ線を通してブースターに電力を供給している。衛星放送受信用では、パラボラアンテナの受信部にあるコンバータを動作させるためにテレビや衛星チューナーからアンテナ線に電源(DC15V)が供給されており、この電力を使ってブースターを動作させている。
受信ブースターで信号を増幅する際に増幅素子で発生する雑音が加算されるため、その雑音以下の微弱な信号は、いくら増幅しても受信状態は改善されない。このような場合は雑音のより少ない受信ブースターを使用する必要がある。製品にはNF(雑音指数)として表示されていることが多いが、設置者にわかりやすい表示として、がまん限(実用入力レベルの最小値)が表示されている製品もある。
また、アンテナから入ってきたノイズも同時に増幅してしまう(CN比の改善は出来ない)ため、ブースターを用いる場合でも、アンテナやアンテナ線を雑音源から遠ざけるなど、入り込むノイズを少なくする必要もある。
[編集] 無線受信用
無線受信用に、アンテナと無線機または受信機との間に挿入して使用される。無線機用の場合は、送信電力で破壊されないように、送信時はスイッチにより、回路が遮断されるようになっている。
[編集] GPS受信用
アンテナに内蔵された状態で、単にGPSアンテナとして市販されている。
[編集] 関連項目
- 定在波比
- 雑音指数