参与観察
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参与観察(さんよ かんさつ)は、定性的社会調査法のひとつ。参与観察法。
例えば、ニューギニアの現住民族の男性は、巨大なペニスケースを着用しただけで正装したものとされる。当初、欧米人学者が、素っ裸で村落を歩き回ったところ、不謹慎なワイセツ行為としてヒンシュクをかったそうである。このように、定型的な方法が確立しているわけではないが、観察者はフィールドワークを中心に、数ヶ月から数年に渡って研究対象となる社会に滞在し、その社会のメンバーの一員として生活しながら、対象社会を直接観察し、その社会生活についての聞き取りなどを行う。観察者はフィールドノートに様々な記録をとり、それを後にデータとして扱うことがある。観察調査の記録に、テープレコーダー、カメラなどの機器を使うこともある。
参与観察は、外部の人には閉ざされているような特異な集団の調査には威力を発揮する。また、社会学や人類学で、特定の社会集団を研究する際に用いられる他、家庭、教室、会社組織などに対しても用いられることがある。
参与観察による代表的な業績として、W.F.ホワイトの『ストリート・コーナー・ソサエティ』(初版1943年)が有名である。
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[編集] 特徴 - 利点と欠点
[編集] 利点
- 問題を発見しやすく、問題の特質を浮き彫りにさせやすい。
- 調査対象となる社会の多次元的な把握に向いているため、その全体像を描きやすい。
- 問題となる事象についての対象者の経験をその内面にさかのぼって理解し、対象者の行為を意味付け、問題の深層にアプローチできる。
- 時間をさかのぼって調べられるので、対象の変化の過程をとらえることができる。
[編集] 欠点
- 事例が極めて少なくなるため、標本としての代表性が問題となる。
- 定型的な方法が確立していないため、分析の成否が研究者・調査者個人の能力や性格に依拠する。
- 一般化が困難で、観察者本人の主観の混じった不的確な観察や恣意的な推論の介入する余地が大きい。
- 反復しての検証が困難。
[編集] 文献
- W.F.ホワイト、奥田道大・有里典三訳 『ストリート・コーナー・ソサエティ』、有斐閣、2000年(ISBN 4-641-07625-1) この邦訳書の原著は、William Foote Whyte, Street Corner Society 4th Edition, The University of Chicago Press, 1993.
- 佐藤郁哉 『暴走族のエスノグラフィー - モードの叛乱と文化の呪縛』、新曜社、1984年(ISBN 978-4788501973)
- 佐藤郁哉 『フィールドワーク 書を持って街へ出よう』、新曜社<ワードマップ>、1992年(ISBN 4-7885-0428-6)