前燕
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前燕(ぜんえん 337年 - 370年)は魏晋南北朝時代に鮮卑族の慕容皝(皝は皇の右に光)によって建てられた国。国号は単に燕だが、同時代に同じく国号を燕とする国が四つあるため、一番初めに建てられたこの国を前燕と呼んで、区別する。
鮮卑族慕容部の首長慕容廆(廆はまだれに鬼)は西晋に従い、鮮卑の他の部族と抗争していたが、息子慕容皝は前趙の圧力を跳ね返して、燕王を名乗り、龍城(遼寧省朝陽市)に都した。
慕容皝の息子慕容儁は350年の冉閔の反乱に際して後趙を滅ぼした冉魏に侵攻し、冉魏を滅ぼして華北東部を支配下に入れ、353年には鄴(河南省臨漳県)に遷都した。
慕容儁の死後、息子の慕容暐が皇位についたが、実力者慕容垂を排除しようとし、国内の人望を失った。慕容垂は前秦に逃げ込み、370年に前燕は前秦の苻堅によって滅ぼされた。