制御工学
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制御工学(せいぎょこうがく)とは、入力および出力を持つシステムにおいて、その(状態変数ないし)出力を自由に制御する方法全般にかかわる学問分野を指す。主にフィードバック制御を対象にした工学である。
大別すると、制御工学は、数理モデルに対して主に数学を応用する制御理論と、それを実モデルに適用していく制御応用とからなる。応用分野はその発展の経緯から化学プロセス、機械系および電気系が中心であるが、ものを操ることに関する問題が含まれれば制御工学の対象となるため、実に広範な分野と関連がある。
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[編集] 制御理論
制御理論は数理モデルを対象とした、主に数学を用いた制御に関係する理論である。 いずれの理論もモデルの表現方法、解析手法(安定性など)、制御系設計方法の三本柱を与える。
多数の制御理論が提唱されているが、主なものは古典制御論と現代制御論の2つである。
[編集] 古典制御論
古典制御論は伝達関数と呼ばれる線形の入出力システムとして表わされた制御対象を中心に、周波数応答などを評価して望みの挙動を達成することを目的とした理論である。素直な特性を持つ制御系に適しており、古典とはいうものの現代でも主力の制御理論である。特に代表的な成果物と言えるPID制御は頻繁に目にすることが出来る。
[編集] 現代制御論
現代制御論は状態方程式と呼ばれる一階の常微分方程式として表現された制御対象に対して、種々の数学的な知見を応用して、安定性、時間応答や周波数応答などを評価して望みの挙動を達成することを目的とする理論である。状態方程式の未知変数(状態変数と呼ぶ)に多次元ベクトルを選ぶことできるため、複雑な多入出力系に対して多くの成果が得られるようになった。多数のインプット、アウトプットを持つ制御系や、非線形な特性を持つ制御系に向いている。