全自動麻雀卓
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全自動麻雀卓(ぜんじどうまーじゃんたく)は、麻雀を便利に行うために使用するテーブル(雀卓)の内、洗牌から山牌積みまでを自動で行うことができるもののこと。
雀卓と同様、通常は70-90センチ四方の正方形のテーブルになっており、点棒を収納しておく引き出しや、灰皿などが付くモデルが多い。麻雀自体は、普通の家庭用テーブルなどでも行うことは可能であるが、麻雀をプレイするための施設「雀荘」では現在、この全自動麻雀卓のみを導入して営業をしている店舗がほとんどである。また、プロリーグの競技麻雀でも、これを使うのが当たり前になっている(ただし、101競技連盟では、規定により全自動卓の使用を認められていないため、公式戦は手積みである)。
なお、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に規定があり、全自動麻雀卓とその他の卓では徴収可能な料金が異なる。
モデルにもよるが、新品でおよそ30-100万円と高価なものであるため、中古品も出回っている。
[編集] 機能
通常は麻雀牌のセットを2セット使い(この2セットの麻雀牌は各セットが混ざっても一目で分かるように、通常は背の色の異なるものを用いる)、終わったゲームで使用した牌セットを卓の落とし穴に落とし込みスタートボタンを押すと、ゲーム中に自動的に積み込まれたもう一つのセットが現れ、それと同時に落とし込まれた側のセットが次のゲームで使用するための積み込みを始めるようになっており、全自動麻雀卓を使用しない時に比べよりスピーディにゲームを進行させる事ができる。
また、シャッフルのランダム性を上げるため、磁石の入っていないダミーの牌が入れられていたり、取り込んだ牌が裏向きだった場合に修正するのではなく中央に戻して配列の規則性をなくすなどの工夫がなされている。これが不完全な麻雀卓(特に、初期によく見られたスピード優先設計の機種)では、有効牌が特定の山(特定の席、もしくは上下)に固まったり、(イカサマとしての)積み込みに近いことが出来たり、果ては自動配牌型では前々局の上がり形がそのまま配牌として再現されるなどの現象が起きてしまう。このため、競技麻雀では手で洗牌を行った後に落とし穴に入れる団体もある。
牌の投入口はゲーム中は閉じており問題はないが、投入口を開いて落とし込みを行う際に、誤って道具を落としてしまうことも考えられるため、機種やモデルによって様々な対策が取られている。
- サイコロについては、機種によって液晶や発光ダイオードによるデジタル表示のサイコロを用いたり、卓の真ん中に電動式(通常のサイコロをモーター等で回す仕組みで透明カバー内に収まっている)のものをつけたりと、従来のサイコロを卓上で転がす機種は存在しないため、落とす心配は無い。
- 点棒については誤って穴に落とした場合でも、卓の下から機械が自動的に排出する機構が付いている機種が多い。
また内部で山牌を積む際にも牌の枚数を確認しており、使用した牌全てが落とされなかったなどで牌が足りなかった場合は通知するようになっている。
以上のように麻雀を行う上でトラブルがなるべく起こらないように工夫されている。
最近の機種では、各プレイヤーの点棒ケース内にある点棒の点数や点差を表示する機能がついていたり(全員の合計点も表示でき、点棒不足も一目で分かるようになっている)、ドラ表示牌を自動的にめくる機種や配牌も自動的に行う機種、果てはアガリ手の点数計算まで行う機種まで発売されており、進化を続けている(ただし、配牌を自動で行う機能については、初期の全自動麻雀卓にあった機能で、不評だったために外されていたものがニーズの変化により再び採用されたに過ぎず、進化とはいえない)。
全自動麻雀卓の第1号はミシンメーカーのシンガーの子会社・渡辺製作所が1976年に開発・作成した「パイセッター」。
全自動麻雀卓の前身としては、1972年に「マグシャン」「オートジャン」が発売。 これらはスイッチを入れるとすべての牌が一斉に裏返り、自動的に洗牌を行うというもので、山を積むことに関しては従来通りプレイヤーが行い、山を積むまでの労力を無くしたものであった。これらの麻雀卓は現在の自動的に山を積む全自動卓に対して「半自動」と呼ばれた。
性能上麻雀のイカサマのほとんどの土台である、いわゆる積み込みが封じられたため、出た当初はある意味衝撃的だった。出始めは牌がよく混ざらず、偏ってしまうことがたびたびあったが、現在ではほぼ解消されている(念を押すため、落とし穴に入れる前にかき混ぜることもある)。これは、全自動(半自動)麻雀卓が「利便性」ではなく、「公正なゲームを行える」ことにより普及した一面があるため、シャッフルの精度は最優先で改良されていったためである。ただし、全自動配牌型の機種では、工程の所要時間の長さから、再びスピード優先設計となり、シャッフル精度は犠牲となっている。
通常の四角い4人用雀卓のほか、変わったものとして関西で人気のある三人麻雀専用の、三角形の卓もある。
[編集] ブランドとメーカー
2007年現在販売中のものに限る。ブランドの五十音順に並べている。
- アモス - 大洋化学
- 雀豪 - 電元オートメーション
- 雀友 - エムテックスマツムラ
- センチュリー - マツオカメカトロニクス