依田學海
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依田 學海（よだ がっかい、1834年1月3日(天保4年11月24日) - 1909年(明治42年)12月27日）は、日本の漢学者、文芸評論家、小説家、劇作家。｢学海日録｣の著者であり、森鴎外の師としても知られている。幼名は幸造、信造。通称は七郎、右衛門次郎。諱(いみな)は朝宗(ともむね)。最初、字(あざな)を百川(ひゃくせん)と称したがのちにこれを本名とした。柳蔭および學海は雅号である。歌人の依田秋圃(しゅうほ)の叔父。森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』の文淵先生のモデル。漢文の作文、特にに記事文に優れ、『譚海』は、菊池三渓の『本朝虞初新誌』と並び称される。
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[編集] 略歴
1833年(天保4年)、下総国佐倉藩(現在の千葉県佐倉市)に佐倉藩士で長柄奉行を務めた依田貞剛の次男として生まれる。佐倉藩の藩校、成徳書院(現在の千葉県立佐倉高等学校の前身)で漢学、経史を学ぶ。1872年(明治5年)に東京に出て東京会議所の書記官になる。1881年(明治14年)には権少書記官として文部省に出任し、音楽取調掛となり、また漢文教科書の編集に携わる。
1885年(明治18年)、53歳で文部省を退官、正六位に叙された。退官後は創作や文芸評論に力を注ぐ。森鴎外に漢文を指導し、鴎外のベルリン留学に際しては｢送森軍医遊伯林序｣を贈った。鴎外との交流は、その小説｢百物語｣や｢ヰタ・セクスアリス｣に描かれている。特に｢ヰタ・セクスアリス｣の中で、主人公(＝鴎外)が15歳のときに漢文を教えてもらう「文淵先生」は、學海がモデルとされている。鴎外の他、多くの文学者と交流があり、幸田露伴を文壇に送り出した。川上音二郎のために『拾遺後日連枝楠』という作品の脚本を書いたこともあった。川田甕江博士とは同門で甕江が没するまで親しく交際した。演劇では九代目市川団十郎のブレーンとして歌舞伎の近代化を志し活歴物という写実的な時代物狂言の創作に協力した。自ら脚本『吉野拾遺名歌誉』を作っている。文化人出身の学海は旧来の狂言作者を無学の連中として見下していたが河竹新七（のち黙阿弥）には一目置いていた。黙阿弥作の狂言『魚屋宗五郎』で、主人公の宗五郎が最愛の妹を殺害され禁酒を破る件について「あのようにはなかなか書けるもんじゃない。やっぱり奴は天才だ。」と賞賛している。
[編集] 主な著作
- 『譚海』（3巻）
- 『談叢』（2巻）
- 『学海日録』（全12冊、岩波書店）
- 『菊水源流』（「依田南朝」という渾名で『少年世界』に連載）
- 『墨水別墅雑録』
- 『富士艦迴航』
- 『学海画夢』
- 全著作・自筆日記などが「学海叢書」として一括して無窮会専門図書館に所蔵されている。
[編集] 関連書籍
- 『学海余滴』学海余滴研究会編（2006年3月、笠間書院）
- 『幕末インテリジェンス―江戸留守居役日記を読む―』白石良夫（2007年10月、新潮文庫）
