代位弁済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
代位弁済(だいいべんさい)とは、代位という法律効果を伴う弁済をすることをいう。誤解されがちであるが、債務者以外の者が債務者に代わって弁済することを指して代位弁済というのではない。 この場合の代位とは、弁済者が債権者が有していた原債権を取得することをいう。代位が発生すると、債権者が債務者に対する債権を担保付の状態で行使することができるようになるので、弁済者の求償権の行使・満足を確保することができる(詳細はb:民法第501条の各号を参照)。 原債権と求償債権は別個独立の債権であるが、前者は後者を確実なものとするために存在するという意味において、両者は主従の関係にある。
目次 |
[編集] 代位弁済の種類
[編集] 第三者弁済の問題
債務の弁済は保証人以外の第三者でもできるが、その債務の性質が許さない時、又は債務者の意思に反して弁済することはできない(b:民法第474条第1項、また、法律上の利害関係のない第三者が債務者の意思に反して弁済することはできない(民法第474条2項))ので、それらの第三者が債務者の同意なくして弁済した場合においては、原則として、弁済という法律効果が発生しないため、その場合は代位という法律効果も発生しない。
以下の節では、代位弁済者が保証人である場合を中心に叙述する。
[編集] 担保物権付債権の場合
先取特権付債権、不動産質権付債権、抵当権付債権について保証人が代位弁済する時は、先取特権、不動産質権、抵当権の目的である不動産の第三取得者に対抗するためには、あらかじめ先取特権移転登記、不動産質権移転登記、抵当権移転登記を付記登記しておく必要がある(民法第501条第1号)。
[編集] 根抵当権付債権の場合
確定前の根抵当権の被担保債権について代位弁済する場合には、弁済者は債権者に代位することはできない(b:民法第398条の7第1項後段)。根抵当権の確定後には随伴性があるので根抵当権設定者の承諾を得なくとも代位弁済による根抵当権移転登記ができるので、代位弁済する前に根抵当権を確定させて(根抵当権設定者の承諾を得て確定登記を行うか、承諾が得られない時は確定請求で確定登記を行う。)、確定後に代位弁済を行い、根抵当権移転登記を行うとよい。根抵当権の目的である不動産の第三取得者に対抗するためには、あらかじめ根抵当権移転登記を付記登記しておく必要がある(民法第501条第1号)。
債権者が他にも担保を持っている時には、その担保にも当然に代位するので、担保解除には注意を要する。
[編集] 債権の一部についての代位弁済
債権の一部について代位弁済の場合には、代位者は、その弁済をした価額に応じて債権者とともに行使する(b:民法第502条第1項)。担保付債権の一部について代位弁済があると、その担保権について準共有の関係になる。ただし、解除権は債権者に留保される(民法第502条第2項)。
根抵当権付債権の一部について保証人が代位弁済を行う時には、根抵当権確定後に根抵当権一部移転登記を行うことになる。