人工膀胱
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人工膀胱(じんこうぼうこう、ウロストミー、Urostomy)とは、負傷や膀胱がんの治療のために膀胱を摘出した際に、膀胱に代わって作られる代用膀胱。回腸導管と蓄尿型人工膀胱、自排尿型人工膀胱の3種類、或いは尿管をそのまま腹部皮膚に開口する尿管皮膚瘻を含めて4種類が存在する。 ストーマ(腹部の開口部)を保有する人工膀胱保有者(あるいは人工肛門保有者)をオストメイトと呼ぶ。
[編集] 種類
- 回腸導管
- 末端付近の回腸を15~20センチ切り取り口側を閉鎖、両側尿管をそれぞれ吻合。反対側(肛門側)をストーマとして腹部に開口する。排泄は、腹部の開口部ストーマ (w:Stoma) から行う事になる。
- 尿は垂れ流しになってしまうので、ストーマから出る尿を溜めるストーマ用装具を使用する。通常専用の袋(パウチ)を下腹部に貼付して膀胱の機能をこれで補う。ある程度の尿が溜まった時点でコックを開け排泄する。外出時や就寝時など頻繁に排泄出来ない時は、大量の尿を蓄積できるレッグバッグや尿バッグなどの蓄尿袋を、パウチに導尿チューブを介して接続して使用すれば、日常生活に大きな支障はない。
- 蓄尿型人工膀胱
- 回腸末端及び結腸の一部を使い、体内に袋状の物を作成し尿管を吻合。膀胱の機能をこれで補う。排泄は、腹部のストーマ (w:Stoma) からカテーテルにより行う事になる。
- 最近は行われる症例が減少している。
- 自排尿型人工膀胱
- 終端付近の回腸約60センチを用いて、体内に袋状の物を作成し尿管を吻合。膀胱の機能をこれで補う。排泄は人工膀胱下部と尿道を吻合。腹圧もしくは手による加圧により、尿道より行われる。ストーマが存在せず、尿を溜める専用の袋(パウチ)などのストーマ用装具を使用しないため、自排尿型人工膀胱保有者は、一般にはオストメイトとして扱われない。
- 尿道が温存可能な症例にのみ実施される。
- 尿管皮膚瘻
- 尿管断端をそのまま腹部皮膚面に出し、ストーマとする。回腸導管の場合と同様、排泄した尿を一時的に蓄積するストーマパウチを貼り付けて膀胱の機能を代用する。レッグバッグや尿バッグなどの蓄尿袋をパウチに導尿チューブを介して接続して使用する場合もある。
- 一般に人工膀胱の一種として扱われる。
- ストーマは2本の尿管を吻合して一つのストーマとして腹部皮膚面に出す場合と、腹部の両サイドに1カ所ずつ出す場合とが有る。
[編集] 人工膀胱保有者への社会福祉制度
障害者手帳や障害年金がある。詳しくは オストメイトの項の「オストメイトをサポートする社会福祉制度」参照