ワシントン大学 (セントルイス)
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Washington University in St. Louis |
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ラテン語名称: Universitatis Washingtonianae
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校訓 | Per veritatem vis (Strength through truth) |
創立 | 1853年2月22日 |
学校種別 | Private |
大学暦 | Semester |
寄付金 | ~U.S.$5.7 billion |
学長 | Mark Stephen Wrighton |
教職員 | 3,054 |
学部生 | 6,223 |
大学院生 | 6,067[1] |
その他の学生 | 1,227 part time students[1] |
所在地 | セントルイス, ミズーリ州, アメリカ合衆国 |
キャンパス | Urban and Suburban 2,227 acres (9.01 km²) Danforth Campus, Template:Convert Medical Campus, 59 acres Tyson Research Area, Template:Convert |
スクールカラー | Red and Green[2] Template:Color box Template:Color box |
マスコット | Bears 画像:Washington University in St. Louis Bear logo.png |
運動競技 | NCAA Division III UAA 18 varsity teams |
ウェブサイト | www.wustl.edu |
画像:Washington University in St. Louis logo.png | |
公共交通手段 | Skinker (Metrolink) U-City-Big Bend (Metrolink) |
ワシントン大学(Washington University in St. Louis)は、ミズーリ州セントルイスにあるアメリカの有名私立大学。2007年のU.S Newsの大学学部ランキングでニューヨーク州にあるコーネル大学と同位の全米12位に位置する名門大学とされる。特に医学教育では世界的な評価を得ており、多数の大学関係者がノーベル医学生理学賞を受賞している。U.S News, Paterson, Princeton Reviewなどの主要な大学ランキングで「最も入学が難しい大学(Most Selective)」にランクされている。BiomedicalEngineeringを始めとした医学分野への入学はあまりに厳しく、これらの分野の受験生の99%以上がSATⅠ, SATⅡの合計点数において全米1%以内に入る成績を修めている。U.S Newsによる医科大学院ランキングでは全米3位である。特に医学部でも患者を診る臨床(Primary Care)でなく、研究に強い大学である。医学課程以外では、建築学部が全米5位[要出典]、社会科学が全米2位[要出典]となっている。しかし大学の予算の大部分は医学課程・医科大学院予算が占めるため、それ以外の分野は多くが全米40位前後に位置しており、今後は医学分野以外での活躍も期待される。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 歴史
1853年創立。設立当初はエリオット・セミナリーと呼ばれていたが、アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンにちなみ現校名に変更。メディカルスクール(医学大学院)はその業績において世界的に有名であり、数多くのノーベル賞受賞者を輩出している。中でも、生化学者であったコリ夫妻とその門下生に数多くのノーベル生理医学賞受賞者がでている。また、メディカルスクールは米国内では、ハーバード大学、ジョンズホプキンス大学などとともに教育課程もトップレベルである。また世界的に有名な生化学者のアーサー・コーンバーグ教授が長く教鞭を取って研究していたことで有名である。また戦後まもない頃、後に岡崎フラグメントという世界的な業績(生物の教科書なら必ず掲載されている)を残した岡崎令二教授がポストドクターとして研究していた大学でもある。
[編集] 医学課程の特筆すべき点
U.S Newsによる医科大学院ランキングにて全米3位にランクされている。(1位はハーバード大学、2位はジョンズホプキンス大学、4位はペンシルヴァニア大学)しかし、学部課程の医学教育では全米トップと言われている[要出典]。それは、上記のハーバード大学、ジョンズ・ホプキンス大学、ペンシルヴァニア大学は創立当初、全人教育を施すリベラルアーツカレッジであった為、現在でも学部課程では教養課程が重視され専門の医学教育にはあまり力が入れられていない。しかしワシントン大学(セントルイス)は創立当初から高度な専門教育を学部課程から提供することを主な教育目標に掲げていた為、学部課程から高度な医学教育が提供される。その為、今日のアメリカ社会では医学者(特に研究)を志す者にとって、学部課程は医学教育が充実したワシントン大学(セントルイス)に進学し、医科大学院でハーヴァード大学、スタンフォード大学などに進学することが一種のエリートコースになっている[要出典]。
またワシントン大学(セントルイス)の医科大学院を特徴づけるもう一つの点として、起業家志向の医学生が多いということである。これは自らの研究成果を基にして、ワシントン大学(セントルイス)発の多数のバイオベンチャー企業を設立という形となって表れている。大学発のバイオベンチャー企業群が大学周辺に多数存在するため、これらのベンチャー企業に投資するベンチャーキャピタルも多数周辺に存在する。ワシントン大学(セントルイス)の医学課程では、研究者としてだけでなくバイオベンチャー企業経営者としての育成も行っている。例えば医学課程の必修科目の中に、「From Concept to Market」という授業がある。これは毎週、知的財産を扱う弁護士やベンチャーキャピタリスト、バイオベンチャー企業経営者をゲストスピーカーとしてクラスに呼び、バイオベンチャー企業設立に必要な知識を学んだ後で、学生個人個人が具体的なバイオ関連のビジネスモデルを作成するというものである。このように、研究だけでなく起業家志向の医学課程の学生が集まることがワシントン大学(セントルイス)の特徴であるため、医学課程への入学が非常に困難になっている。
また医学部でも、ワシントン大学(セントルイス)は研究中心、起業家志向の大学であるため、患者を診る臨床医の課程(Pre-medical education)よりも研究課程であるBiomedical Engineeringの人気が高いことも大きな特徴である。ちなみにハーバード大学の医学課程は臨床医中心である。
[編集] 医学課程以外での評価
大学学部の平均合格率は19%、医学教育課程は5%程度であるため、入学難易は高い。
【主要世界大学ランキング】
■ TIMES世界大学ランキング:第48位(2006年)、第161位(2007年)[1]
■ 上海交通電気大学ランキング:第22位(2003年)、第28位(2004年、2005年、2006年、2007年)[2]
【US NEWS主要大学院ランキング】
●物理学部:全米48位(同位:ノースカロライナ州立大/マサチューセッツ大/ピッツバーグ大/南カリフォルニア大/アリゾナ州立大/フロリダ州立大/アイオワ州立大)
●化学部:全米第43位(同位:コロラド州立大/南カリフォルニア大/デューク大/ピッツバーグ大)
●生物学部:全米第7位(同位:ロックフェラー大/カリフォルニア大サンフランシスコ校/イェール大/スクリップス研究所)
●工学部:全米46位(第45位:アリゾナ州立大/同位:デラウェア大/第48位:ピッツバーグ大)
●コンピューター工学:全米39位(同位:ノースウェスタン大/アリゾナ大/シカゴ大/フロリダ大/コロラド大ボルダー校)
●数学部:全米第40位(同位:ブランダイス大/アリゾナ大/ヴァージニア大)
●経済学部:全米36位(同位:カリフォルニア大サンタバーバラ校/パーデュー大/インディアナ大/ボストン大学(Boston College))
●政治学部:全米16位(第13位;オハイオ州立大・ノース・カロライナ大チェペル・ヒル校/同位:ウィスコンシン大マディソン校)
●心理学部:全米36位(同位:カーネギー・メロン大/デューク大/ニューヨーク大/オハイオ州立大/ヴァンダービルト大/ウィスコンシン大マディソン校/ペンシルベニア州立大)
●社会学部:ランク外
●英語学部:全米39位(同位:カリフォルニア大サンディエゴ・サンタクルーズ校/イリノイ大/ニューヨーク州立大バッファロー校/ライス大/クレアモント大)
【専門大学院】
●医科大学院:全米第3位(第2位:ジョンズ・ホプキンス大学/第4位:ペンシルヴァニア大学)
●法科大学院:全米第19位(第18位:南カリフォルニア大学/第20位:ジョージワシントン大学)
●ビジネス・スクール:全米25位(第24位:エモリー大学/同位:ロクスター大学/第27位:オハイオ州立大学・ミネソタ大学)
●教育学大学院:全米38位(第36位:ピッツバーグ大学/同位:南カリフォルニア大学/第40位:コーネル大学)
[編集] キャンパス
大学のキャンパスはゴシック様式の建築、景観といい美しいことで有名である。セントルイスのダウンタウンから15マイルほどにも関わらず、大学のすぐ近くにフォレスト・パークという広大な公園もあり自然が豊かな環境である。キャンパスは、セントルイス市郊外のフォレスト・パークの西側と東側に広がっており、西側に広がるのがダンフォース・キャンパス、東側に広がるのがメディカルスクールのキャンパスとそのメディカルセンターである。ダンフォース・キャンパスは2006年以前はヒルトップ・キャンパスと呼ばれ、キャンパス内には美しい芝生が広がり、建物は全て同じ様式のレンガ造りで統一されている。キャンパスの玄関とも言うべき建物はブルッキングスホールと呼ばれ、1904年のセントルイス万国博覧会に使われた建物を移設したものである。また、校内には世界的な建築家でワシントン大学セントルイスで教鞭を取ったこともある槇文彦が建築を手がけたサム・フォックス・アート・センターもある。ダンフォース・キャンパスからフォーサイス通りを挟んだ反対側には学生寮のあるサウス40キャンパスが広がる。ここ数年の大改築により学生寮はまるでコロラドのスキーロッジのような建物に変わった。メディカルスクールのキャンパスはセントラルウェストエンドという繁華街に隣接しており、付属のメディカルセンターの規模は全米でも屈指の規模を誇る。
[編集] 著名な卒業生
- クラーク・M・クリフォード (JD 1928年)、アメリカ合衆国国防長官 1968年 - 69年
- Alan J. Dixon (LLB 1949年)、アメリカ合衆国上院議員 1981年 - 93年
- チャールズ・イームズ、デザイナー、建築家、filmmaker
- ヒュー・フェリス (建築学学士 1911年、建築学修士 1928年)、建築家
- デイビッド・R・フランシス (BA 1870年)、セントルイス市長 1885年 - 89年、ミズーリ州知事 1889年 - 93年、U.S. Secretary of Interior 1896-97
- Bernard Fuchs (MFA 1954年)、画家、イラストレイター
- ジョン・ガードナー、小説家
- ヘンリー・Hampton (BA 1961年)、film producer ("Eyes on the Prize")
- Moses W・ハリソン II (JD 1958年)、イリノイ州最高裁判所長官
- A.E. Hotchner (BA 1940, JD 1941年)、劇作家
- Fannie Hurst (1909年)、作家、社会活動家
- Josephine・ウインスロウ・ジョンソン、ピューリッツァー賞 - 作家部門受賞
- ジョージ・E. Kassabaum (B.Arch 1947年)、建築家、元アメリカ建築家協会会長
- Joyce Ladner (MA 1966年、PhD 1968年)、社会学者、社会活動家
- マックス・Lerner (MA 1925年)、知識人及び作家
- ダニエル・ネイサンズ(1954年)、ノーベル生理学・医学賞受賞者
- H・リチャード・ニーバー (MA 1917年)、神学者
- オリバー・ネルソン (在籍 1954年 - 7年)、ジャズ演奏家及び作曲家
- ギョー・オバタ (建築学学士 1945年)、建築家
- J.D. Parran (MA 1971年)、ジャズ演奏家
- Mike・ペイターズ (BFA 1965年)、ピューリッツァー賞 - 漫画家部門受賞
- ハロルド・Ramis (BA 1966年)、film actor, writer 及び director
- Charles Van Ravenswaay (BA 1933年、MA 1934年)、歴史家
- Eugene B. Redmond (MA 1966年)、詩人、評論家、civil-rights activist
- Carolyne Roehm (BFA 1973年)、ファッション・デザイナー
- Abram L. Sachar (BA, MA)、歴史家、初代ブランダイス大学学長
- Sol Spiegelman (PhD 1944年)、分子生物学者
- ジム・Talent (BA 1978年)、アメリカ合衆国上院議員 2003年 - 現在
- Raymond Tucker (BS 1920年)、セントルイス市長 1953年 - 1965年
- ジョージ・Herbert Walker、ゴルフの Walker Cup の創設者、ジョージ・H.W.・ブッシュ元大統領の祖父及び great-grandfather of President George W. Bush
- ウイリアム・ウエブスター (1949年)、元 FBI 及び CIA 長官
- メリー・ウィックス (1930年)、stage and film actress
- テネシー・ウィリアムズ (在籍 1936年 - 37年)、劇作家
- Olly・ウイルソン (BA 1959年)、作曲家
- ジョージ・ジマー (BA 1970年)、founder of Men's Wearhouse
[編集] 2つの「ワシントン大学」
Washington Universityは、日本語訳でワシントン大学と表記されるが、ワシントン州シアトルにあるUniversity of Washingtonもワシントン大学と訳され日本語表記で混乱していることが頻繁にある。これら2つの「ワシントン大学」は、英語では別の名前を持ち、地理的にも機関的にも全く関係がない。英語では、Washington Universityを略して、Wash U(ワッシ・ユー)といい、University of Washington(ワシントン州シアトル)(略称は、UW(ユー・ダブ)と区別される。2つのワシントン大学の日本語表記としては、「ワシントン大学(セントルイス)」、「ワシントン大学(シアトル)」といった地名を同時に示して区別することを推奨したい。
日本では知名度が低いためこのような混乱が生じるが、米国内では知名度が高い有名大学である。実際に、Washington University in St. LouisはUS NEWS学部ランキングで全米12位、University of Washingtonが同42位、Washington State Universityが同112位とレベル的にも大きな差が見られる。(しかし、大学の真価が問われる大学院過程では医科大学院、生物学を除く殆どの部分でワシントン大学(シアトル)の下位に位置する。)
日本での知名度が低い理由は、日本人留学生が少ない医学教育・研究過程に特化した大学であるためで、学部レベルではランキング上、アイビーリーグの大学と同程度に位置し、米国内での知名度は高い。しかし、医学関係学部以外の分野では大きく立ち遅れ、US NEWSのランキングでは多くの学部が40位前後と、一般的な地方州立大学と同位に位置する。
その為、学部ランキングと大学院ランキングの格差が顕著な大学として知られ、今後は医学分野での活躍同様、他分野での躍進および総合研究大学としての発展が望まれる。
[編集] 脚注
- ^ a b "Enrollments, degrees, and admissions" FACTS 2007. 2008-05-12閲覧.
- ^ "Washington University in St. Louis New Logotype" Washington University in St. Louis: University Libraries. 2008-05-12閲覧.
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Washington University in St. Louis(大学ウェブサイト)
- (wikipedia 英語版)
- USNews.com America's Best Graduate Schools 2008
- Times Higher Education
- Webmetrics
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