ロータリー交差点
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ロータリー交差点(ろーたりーこうさてん)とは、交差点の一種で、中心の "島" の一方向に周回する方式のものを言う。
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[編集] 概要
通常信号は設置されておらず、ロータリーに進入する車両は安全を確認して進入する。 日本では鉄道駅の駅前広場に設置する例が多く、日本の主要道路では設置例が少ない。かつて、都心の交差点に設置されていたが、昭和30年代以降に、交通量の増加や、下に述べる欠点のため、撤去が進んだためである。 ヨーロッパ諸国では、ラウンドアバウトと呼ばれるロータリー交差点の一種が広く普及しており、この方式の利点が認められ、近年イギリス連邦諸国などにも設置例が増えつつある。日本では旭川市、釧路市に設置例が見られる。
[編集] 利点と欠点
[編集] 利点
利点としては以下のものがあげられる。
- 構造上、直交する交通が無く、またある程度通行速度を落とす必要があるため、事故率が低くなる。
- 信号が無いため、錯綜する交通がなければ一時停止する必要が無い。また、信号の維持費がかからない。
- Uターンが容易にできる。
[編集] 欠点
欠点としては以下のものがあげられる。
- 信号型交差点に比べ交通容量が小さいため、交通量の大きい交差点では採用しづらい。
- 一般に必要面積が広く、用地の確保が困難な市街地では採用が難しい。
- 自車両がどの方向に向かっているのか把握しづらく、交差点に慣れていないと道に迷う可能性が高くなる。
[編集] ラウンドアバウト
詳細はラウンドアバウトを参照
ラウンドアバウトは、ロータリー交差点の利点を生かしつつ、欠点を改良したものである。
[編集] 従来のロータリー交差点との違い
従来のロータリー交差点では、ロータリーに進入する車両に優先走行権があるため、ロータリーを還流している車両は進入する車両に譲らなくてはならず、還流する交通が停滞し交通容量の低下の原因となっていた。そこで、優先度を逆にして還流側を優先とすることによって交通容量を確保し、さらに進入部に導流島を設置したり、停止線を設けるなどの工夫で「還流側優先」を徹底している。
また、安全上の問題から2車線以上のロータリー還流部を設置することは難しいが、近年ではマジック・ラウンドアバウトと呼ばれる、大きなラウンドアバウトの中に小さなラウンドアバウトを複合した交差点も考案され、この問題を解決している。マジック・ラウンドアバウトはイギリスのスウィンドンなどに設置されている。
[編集] 日本での現状
日本でもラウンドアバウトの利点を認め、設置を求める意見が増えつつあり、また旭川市などに類似のものが設置されているが、ロータリー内での道路交通法上の規則があいまいで整備されていないため、ラウンドアバウトの利点が生かしきれていないのが現状である。