ロケット号
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ロケット号(ロケットごう)とは、ロバート・スチーブンソン が設計した蒸気機関車。世界初の旅客鉄道である、リバプール・アンド・マンチェスター鉄道の機関車で、最高速度は時速46.6km/h。
同鉄道で使用する蒸気機関車を選定するために行われたレインヒル機関車コンテスト(レインヒル・トライアル)に参加し、優勝した。
後の蒸気機関車の標準となる煙管式ボイラーを初めて使用している。
Dampflokomotive The Rocket im Original von 1829.jpg
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ロンドン科学博物館に保存されている実物 |
イギリス国立鉄道博物館に展示されている復元機 |
動輪を駆動するシリンダーが、運転席付近に斜めについているのが特徴。これは、これ以前にロバートと父ジョージ・スチーブンソンが設計したロコモーション号のような車両の中央付近に垂直に立てられたシリンダーから、後の蒸気機関車の中心となる水平に近い角度でフレームにしっかりと固定されたシリンダーへ移る過渡期の設計といえる。この後設計されたプラネット号では、シリンダーは水平に近い角度でフレームの内側に固定されている。
リバプール・アンド・マンチェスター鉄道開通後はリヴァプール-マンチェスター間を約四時間半かけて走行した。
1830年9月15日に開通式が行われ、世界で初めて一般の乗客が乗った客車を蒸気機関車を使って引っ張った。開通記念列車に試乗したリヴァプールの代議士ハスキソンがウェリントン公アーサー・ウェルズリー(当時首相)に挨拶しようと下車したときに、反対方向から来た列車に轢かれて片足を切断されて死亡。これが世界最初の鉄道事故となった。