ルー (神)
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ルー (Lugh, 古期アイルランド語ではルグ [Lug]) は、ケルト神話のダーナ神族(トゥアハ・デ・ダナーン)の一人。太陽(光)の神。知識・技能・医術・魔術・発明など、全技能に秀でる。イルダーナ (Il-Dana)、ドルドナ (Dordona) の別名の所以。
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[編集] 概要
医術の神ディアン・ケヒトの孫であり、フォモール族の「邪眼のバロール」の孫。 また、英雄クー・フーリンの父でもある。 戦いにおいては投槍や投石を巧みに使い、バロールを打ち倒したことで知られ、このことから長い腕を意味するラウファーダ(Lámhfhada)という二つ名を持つようになる。
[編集] 所持品
ルーは天の川をトルクとし、虹を投石紐(あるいはスタッフスリング用のスタッフ)としたといわれている。 投石に使われた弾はタスラム(Tathlum)と呼ばれる。 彼の使う槍はトゥアハ・デ・ダナーンの四神器の一つとされている。
ほかに、マナナン・マク・リルより賜った、あるいは借り受けたいくつかの道具として、フラガラッハ、静波号などがある。
[編集] 槍
ルーの槍は、日本ではブリューナクとして知られる。 他の呼び名としては、アラドヴァル(Areadbhar)、ゲイ・アッサル、ゲイ・アサイル(Gae Assal,Assail)がある。
トゥアハ・デ・ダナンがアイルランドに来寇した際に北部四島のうち一島にある都市フィンジアスよりもたらしたとされる。
また別の伝承によれば、トゥレンの息子たちがルーの父キァンを殺したエリック(賠償、贖罪)として、ペルシアよりルーの元ににもたらされた。 その穂先は高熱を帯びているので、水の入った乾くことのない大釜(樽)につけて冷まさなければならなかった。
この槍は、戦の時にイブル(Ibur)と叫んで投げれば常に標的に当たり、再びイブルと呼べば、投擲者の元へ帰る。 [1]
また別の伝承によれば、北方のゴリアスの都でエスラスによって守られていた魔槍。トゥアハ・デ・ダナーンがフォモール族と戦ったモイトゥラの戦いの折、神々の王ヌァザとエスラスによってルーに手渡された。投げると稲妻となって敵を死に至らしめる灼熱の槍であるという。またその稲妻を五条の光線状のように記述する文献もある。
[編集] ルイン
他のアイルランド神話に登場する勇者ケルトハル、およびドゥフタハが用いるルイン、ルーン(Luin)と呼ばれる槍もこの槍とよく似た性質を持っている。 ルインという名は槍を意味するLùinと言う単語から来ている。
[編集] 資料
- ^ Macalister, R. A. Stewart. Lebor Gabála Érenn. Part IV. Irish Texts Society, Dublin, 1941. § VII, First Redaction, ¶ 319.