リベラーチェ
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リベラーチェ(Liberace 本名:Wladziu Valentino Liberace、 1919年5月16日 – 1987年2月4日)は、アメリカ合衆国のピアニスト、エンターテイナー。派手なコスチュームプレイで大衆の人気を博し、「世界が恋したピアニスト」と呼ばれた。
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[編集] プロフィール
[編集] 生い立ち
ウィスコンシン州ウェスト・アリスに住むポーランド系アメリカ人の音楽一家に生まれ、幼少時からクラシック・ピアノのレッスンを受けた。わずか7歳の時には大ピアニストとして知られるイグナツィ・パデレフスキに演奏を絶賛されたという。
[編集] テレビ出演
長じてポピュラー音楽の分野に転じ、1950年代に当時普及し出したテレビに出演番組を持ち人気を得る。その後ネバダ州ラスベガスで定期的にショーを開催するようになる。その音楽的傾向はクラシックからポップス、ジャズまで幅広かったが、全体としては通俗的なセミクラシック、ムード音楽、イージーリスニング系のピアニストというのが実態である。
[編集] 悪趣味の代名詞
リベラーチェを有名にしたのはそのピアノの演奏だけでなく、豪華で派手な衣装と気さくで社交的な人柄であった。特にその衣装は世界的に有名で、極端に立った襟を持つ金ぴかの上着に、孔雀の羽をふんだんに使ったキッチュな衣装は、その後エルヴィス・プレスリーやエルトン・ジョンなどのリベラーチェと親交のあったスーパースターに大きな影響を与えた。ステージ演出も過剰なオーバーデコレーションで、白いピアノや古風な燭台、あげくは噴水まで駆使して派手なステージを作り上げた。
おかげでアメリカでは一時、「派手(で下品)な悪趣味」の代名詞としてしばしばリベラーチェが引き合いに出されたほどである。このため知識層からは眉をひそめられる存在であったが、大衆からはその華やかさで広く人気を得た。とはいえそのピアノのテクニックも評価が高く、エルヴィス・プレスリーは「リベラーチェの音楽的才能を深く尊敬している」と生前に語っている。
リベラーチェ本人もステージ・プレイの一環として「悪趣味」は自覚していたようで、1968年のバッド・テイストな映画『ラブド・ワン The Loved One』(トニー・リチャードソン監督)では、派手な棺桶を愛想良くセールスする葬儀社員という、セルフ・パロディ風の悪趣味な役を怪演した。
[編集] 私生活
派手な衣装と同じくらい派手な私生活で知られており、その為に大衆向けゴシップ誌の常連であった。また、若いときより同性愛者であり、そのことは1970年代には周知の事実となったがその事実を死の直前までひた隠しにし、その事実を報道したゴシップ誌や元恋人と何度かトラブルを起こしており、訴訟沙汰になることも多かった。
[編集] 死去
1987年にカリフォルニア州・パームスプリングの自宅で死去した。享年67。死因はエイズであった。生前の衣装やキャディラックやメルセデス・ベンツなどの愛車、ピアノは現在ラスベガスにある博物館に展示されている。